佐賀・大町一帯、冠水拡大なぜ 海抜ゼロ排水不良に

西日本新聞 社会面

 佐賀県大町町を中心とした地域でなぜ、冠水被害が相次いだのか。佐賀大の大串浩一郎教授(河川工学)は有明海の満潮時に記録的な大雨が降ったため、海抜ゼロメートル地帯の低地で排水不良が発生し、雨水が下水道などからあふれる「内水氾濫」につながったとみている。

 大串教授によると、有明海は全国で最も干満差が大きい。一方で、同県西部から有明海に注ぐ六角川は勾配が緩く、流域は水はけも悪い。満潮時には、海水が上流約29キロまでさかのぼり、広範囲で土地が川面より低くなる特徴がある。

 国土交通省武雄河川事務所によると、六角川と牛津川の流域には約60カ所にポンプを設置し、住宅地などに降った雨水を河川に排水している。ただ、大雨が降った28日は、河川の水位が上昇し、ポンプの運転を停止する「運転調整」を一部で行っていた。

 大串教授は同町一帯は北部を丘陵に、南部を六角川に挟まれ、もともと浸水リスクが高いと指摘。今回は満潮と大雨が重なり、自然排水ができず、ポンプによる排水もうまく機能しなかったと分析する。

 30日朝にかけ、九州北部では局地的に非常に激しい雨が降る恐れがある。満潮と大潮が重なり、28日より潮位が高まる可能性もある。大串教授は「大雨に伴う増水で川の堤防は大きな負荷を受けている。再び増水すれば、決壊する恐れもある」と警鐘を鳴らす。

    ◇    ◇ 

 同町の順天堂病院周辺では冠水被害が続いている。近くの鉄工所から流出した油が漂い、河川への排水を妨げているためだ。県は「油を含む水が川に流れれば、有明海の漁業被害を招きかねない」と懸念する。

 病院周辺にたまった水は排水門4カ所から、浮いた油が流出しないよう門の下部から少しずつ六角川に排水。オイルフェンスや吸着マットで油の除去を続け、油を含まない水はポンプ車10台で回収している。

 29日時点で病院周辺の田んぼの水位は70~80センチで、30日には20~30センチまで下がる見込み。水位が下がれば地面に油が吸着する恐れもある。県の担当者は「排水がいつ、終わるか見通せない」としている。

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