G7 「民主主義」で存在意義を

西日本新聞 オピニオン面

 いかに取り繕っても、G7に生じている亀裂は隠しようがなかった。

 フランス・ビアリッツで24~26日に開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)は、議長国フランスのマクロン大統領が「首脳宣言」と銘打った合意文書を発表して幕を閉じた。

 合意文書は世界貿易機関(WTO)の改革や、イランなど地域情勢に限定した簡潔なものだ。従来のG7サミットで出してきた包括的な首脳宣言と比べれば、質も量も見劣りがする。

 サミットは1975年、石油危機後の不況に先進国が協調して対応するために始まった。冷戦時代の西側(自由主義)陣営に属する参加国は、自由主義世界を主導する責任感からそれなりの団結力を見せてきた。

 しかし、自国第一主義を掲げるトランプ米大統領の登場以来、その結束が揺らいでいる。

 トランプ大統領は温暖化対策や自由貿易など、G7が重視してきたテーマに興味を示さない。また、多国間の枠組みよりも2国間交渉を好む外交手法も、G7軽視につながっている。

 昨年のサミットでは議長国カナダが取りまとめた首脳宣言を、発表後にトランプ米大統領が「承認しない」と拒否した。今回、フランスはそうした混乱を避けるため、従来型の首脳宣言作成を断念、文書より議論重視の運営をアピールしていた。

 しかし、肝心の議論も低調だったようだ。マクロン大統領が米国とイランの首脳会談を呼び掛ける前向きの場面もあったが、世界経済の最大の減速要因である米中貿易戦争にどう対処するか-などの問題では、G7として具体策を示せなかった。

 そもそも、中国など新興国の台頭によって世界経済におけるG7参加国の比重は下がっており、G7の枠組み自体が時代遅れとの指摘もあるほどだ。

 しかし、G7は曲がりなりにも成熟した民主主義国の集合だ。基本的人権や法の支配といった普遍的価値観で結束し、世界をリードしてきた実績がある。その重みは無視できない。

 そんなG7の中から、トランプ政権の米国や、欧州連合(EU)離脱に進む英国など、国際秩序の波乱要因が出てきているのは皮肉というほかない。

 日本はこれまで、G7を足掛かりにして主要国による意思決定に参加してきた。そのG7の形骸化が進む状況は、日本にとって好ましくない事態だ。

 G7を「経済大国のグループ」から「成熟した民主主義国グループ」と位置付け直し、次々と生じるグローバルな課題について国際社会が納得できる対応策を示す枠組みとして、再構築を図るべきである。

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