冠水の病院、孤立解消 大町町、流出油や泥と格闘 九州北部大雨

西日本新聞 夕刊

 記録的な大雨で冠水していた佐賀県大町町の順天堂病院の周辺は30日、大型の車両が通行できる程度まで水位が下がり、病院の孤立状態は事実上解消した。国土交通省が夜通しで排水作業を行った。避難所に身を寄せていた周辺住民も自宅に戻り、被害の大きさに戸惑いながら復旧作業を本格化させた。

 病院周辺は28日に広範囲で冠水。佐賀県によると、患者ら179人の孤立状態が続き、29日から自衛隊などがボートで応援の職員や食料の輸送を始めた。夜を徹して国交省がポンプ車16台で排水を行い、30日朝には水位が膝あたりまで低下。自衛隊の大型車両が通れるようになった。

 国交省はさらに作業を続け、同日中に普通車両が通行できる20センチ程度まで水位を下げる方針。

 この日も早朝から、自衛隊車両のピストン輸送で順天堂病院の職員が病院に順次入った。白濱好美事務長は「車が通るようになり、人や物資の動きがスムーズになると思う」と安心した様子で語った。

 周辺の民家でも、住民らが次々に帰宅。鉄工所から流れ出た大量の油にまみれながら、後片付けに追われた。公民館に避難していた川内清子さん(69)は午前8時に自宅に戻り、汚れた衣服や畳を外に出す作業を始めた。冷蔵庫やタンスは倒れ、畳には油や泥が付着。異臭も充満しており「自分の家とは思えない」と声を落とした。

 病院の周辺には田畑も広がり、農業への影響も深刻だ。農家、岸川マサノさん(73)は避難後、初めて自宅に戻り「なんだこれは」とぼうぜん。トラクターやコンバインが水没し「言葉になりません」と声を絞り出した。米や麦を作っている農家の女性(70)は「田んぼは油まみれの水に漬かった。米農家なのに、米を買わなければならないかも」。

 「商売道具が全部駄目になった」。印鑑製造業、岡原初美さん(72)も仕事に使う機械やボイラーが水没。修理業者と打ち合わせを行う予定だが「仕事を再開するめどは立たない」と肩を落とした。

福岡県の天気予報

PR

PR

注目のテーマ