おきあげ人形や下絵555点指定 日田市文化財

西日本新聞 大分・日田玖珠版

 日田市有田町の川津三郎さん(75)夫妻所有のおきあげ人形やその下絵など555点が、市の有形民俗文化財に指定された。明治後期から昭和中期のもので、制作道具もあり、市教育委員会文化財保護課は「制作者側の資料でこれほどまとまった一括資料は他に存在しない。貴重な資料だ」と評価する。

 おきあげ人形は、歌舞伎や人形浄瑠璃などを題材にした下絵を転写した厚紙を切り分け、パーツごとに綿を乗せて紙と布で包み、パーツを貼り合わせて作られる。表情が豊かで、動きにも躍動感があるのが特徴だ。

 今回指定されたのは、川津さんの妻裕子さん(72)の曽祖母で、おきあげ人形師だった石松シズさん=故人=が使っていた道具や下絵、制作した人形などで、「後世に残すために受け継いでほしい」と託され、大切に保管していた。

 内訳は、はさみやはけなど道具7点、下絵410点、人形91点、人形の顔である「面目」43点、額に入ったおきあげ人形の「額装押絵」2点、羽子板におきあげ人形がついた「押絵羽子板」2点。

 このうち、人形74点と額装押絵1点などは制作に使った下絵も同時に指定を受けた。面目43点は福岡県久留米市の面目師で有名な中野千代乃さん=故人=の作品で、同市の草野歴史資料館の樋口一成学芸員によると、「1カ所でこれほど多くの作品が残っているのは非常に珍しい」と話す。

 川津さんは「先祖が残したものが文化財になってうれしい。責任を持って後世につないでいきたい」と決意を新たにする。夫妻は毎年2月中旬から3月、所有する人形や下絵を自宅に飾り、希望者や地元小学生らに紹介。来春も展示する予定だ。

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