「健保のルーツ」福津で劇上演 地元の歴史ボランティア

西日本新聞 ふくおか都市圏版

 「健康保険のルーツが福津にあるって知っていますか?」。福津市で歴史ボランティアガイドとして活動する女性5人グループ「ふる里福津愛し隊」が同市でデイキャンプの児童たち約50人に劇を披露した。農民が毎年米を出し合い、いざというときは無料で医者に診てもらえる「定礼(じょうれい)」という江戸時代に始まった制度を分かりやすく伝え、児童たちは助け合いながら暮らした人々に思いをはせた。

 劇は20日、福間駅東の四角公民館で上演。「昔は具合が悪くても、貧しくてお医者さんに診てもらえない人たちがいました。どうすればいいと思う?」劇の始まりにそう問い掛けられて、子どもたちは「うーん…がまんする」「でも病気が治らんよ」と口々に答えながら考えた。

 この深刻な問題に対して、昔の人々が考え出した制度が定礼。江戸期の終わりごろから旧宗像、粕屋、朝倉、鞍手郡の農漁村の一部にあった。各戸が暮らし向きに応じて出せるだけの米を供出し、それを一年分の薬代として医者に渡した。市内では本木、舎利蔵、手光などに定礼があった。劇では昭和の初め、農村に医療保険の導入を検討していた内務省が定礼を参考にしようと調査に来た場面を描いた。

 「米をたくさん出す人と、少ししか出さない人がいて、不満は出ないんですか」と問う役人。村人は「ありません。あり余る米があっても、お医者さんがおらんかったら、どげんもならんですもん」と答える。明治期に疫病が流行した際には集落滅亡の危機にさらされた地も実際にあった。

 定礼医師はその土地に住み、病人があると出向いた。医者を呼んだ農家は、当時ぜいたく品だった砂糖を使った漬物でもてなした。この漬物のことを「医者どんコンコン(医者の漬物)」と呼んだ-。子どもたちは郷土で生まれた相互扶助の話を、興味深そうに聞き入っていた。

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