新学期の子ども SOS出しやすい環境を

西日本新聞 オピニオン面

 楽しかった夏休みも終わり。今週から新学期が始まった学校もある。生活のリズムが一変しよう。「苦手な授業が始まるのか…」「また、いじめを受ける日々に戻ってしまう」。落ち込んだり、ふさぎ込んだりしている子どもは少なくないだろう。

 18歳以下の自殺は、夏休み明けの9月1日が突出して多いという国の調査結果がある。ピークは近年、8月下旬に移っているとされるが、夏休み明け前後が未成年の自殺の「危険期間」であることに変わりはない。

 家族や教職員はもちろん、周囲の大人が子どもをそっと見守り、心身の小さな変化を見逃さないようにしたい。

 登校がつらいなら、少し休むという選択肢もある。不登校が長引くようなら、一定の要件を満たしたフリースクールなどの利用が「出席扱い」になるケースもある。「何があっても学校には行くべきだ」という通念に固執し、子どもを精神的に追い詰めてはならない。子どもの声に丁寧に耳を傾けてほしい。

 学校では「SOSの出し方教育」が進められているが、特に男子は「弱音を吐いてはだめだ」と思い込む傾向が強いという。思わぬ苦境に陥ることは誰でもある。そんな時は大人に助けを求めるのが当たり前-。指導方法を工夫し、そうした意識を定着させる必要がある。

 教師やスクールカウンセラーが連携して子どもを見守るだけでなく、相談体制の整備やSOSを出しやすい雰囲気を学校全体に広げることも大切だ。

 熊本市教育委員会は中高生を対象に夏休み中、無料通信アプリLINE(ライン)による相談「ほっとLINE」を実施している。2学期も毎週日曜日に続ける。こうした会員制交流サイト(SNS)を活用した相談事業は全国に広がっている。

 厚生労働省は昨年3月の自殺対策強化月間中に、SNSを使った相談事業を行った。13団体が約1万件の相談を受け、その4割が未成年だった。対面や電話が苦手な人が利用しやすいといった評価がある一方、相手の反応が見えないネット相談の難しさも指摘されている。SNSで受けた匿名の相談を、どうすれば問題解決のための具体的な支援に結び付けられるのか。知恵を絞る必要がある。

 兵庫県川西市は、SOSを大人が受け止め問題解決への手助けをする第三者機関「子どもの人権オンブズパーソン」を設置している。長崎市では民間団体が昨年6月に相談窓口を設け、必要に応じて医療などの専門家の協力も得て支援している。子どもが駆け込み、大人がしっかり受け止める。そんな場を学校外につくる試みも広げたい。

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