英語民間検定試験、九州では? 全ての国公立大が利用…手法はさまざま

西日本新聞 くらし面

 2020年度から大学入試センター試験に代わって大学入学共通テストが始まる。各教科のうち英語では「読む、聞く、話す、書く」の4技能を図るため新たに民間検定試験が導入される。教育取材班が8月、九州7県の国公立大19校に尋ねたところ、最終的には全ての国公立大が民間試験を利用すると回答。ただ、出願資格としたり、共通テストの英語の得点に加点したりするなど、手法はさまざまだ。本番まで約7カ月。詳細を詰め切れてない大学もあり、高校生や保護者は志望大学の最新情報に目を光らせる必要がありそうだ。

九州大は「CEFR」A2以上

 九州大や福岡教育大、長崎大、熊本大、宮崎公立大は、民間試験の得点を語学力の国際標準規格「CEFR(セファール)」の対照表で換算したレベルに到達していることを出願資格とする。CEFRは、最も低いA1から最高のC2まで6段階に分かれており、福岡教育大や熊本大、宮崎公立大はA1以上、九州大や長崎大(一部学部を除く)はA2以上とした。大分大や宮崎県立看護大は下限を設けていない。佐賀大、北九州市立大、熊本県立大などはCEFRの段階に応じた得点を加えるなどとしている。

 民間試験の受験は、熊本大のほか、佐賀大や大分大、北九州市立大、大分県立看護大が必須もしくは前提。ただし九州大や宮崎公立大は受験しない場合も、理由書や英語力に関する証明書の提出で代替できる。鹿児島大や熊本県立大は任意とした。

 私立大は入試方式や学部によって民間試験をどのように扱うか異なる。福岡大、西南学院大、立命館アジア太平洋大(APU)は、いずれも共通テストを利用する方式の入試で活用し、CEFRの段階に応じて加点するなどとしている。

「ID申請」11月から 

 英語民間検定試験の成績は、大学入試センターに設置される「大学入試英語成績提供システム」を通じて志願大学に提供される。

 受験生にまず必要なのが「共通ID」の取得だ。2020年度に受験する現高2生は11月1日~14日か、20年1月27日~9月10日に高校経由でIDの発行を申し込む。現高3生も高校経由での申請が可能で申込期間は今年12月2日~10日。浪人生は個人で申し込む。

 受験生がIDを記入して受ける検定試験は20年4月~12月に実施され、登録は最大2回まで。成績はCEFRの6段階に当てはめ、スコアや合否などの結果とともに志願大学に提供される。

 都市部でしか実施されない試験もあり、文部科学省は離島やへき地などの受験生に配慮して2年時に受けた検定試験の成績を活用できる「例外措置」を設定。対象は「離島・へき地に居住または通学している」「非課税など経済的に困難」としている。ただ、適用条件をCEFRのレベルで上から3番目の「B2(英検準1級~1級レベル)」と、2年生にとってはハードルが高く、救済策として疑問の声もある。

地域・経済格差 不安の声

 英語民間検定試験の利用を巡っては、学識者や教育現場から多くの問題点が指摘されている。全国の国公私立高校計約5200校で構成する全国高等学校長協会は7月、地域・経済格差への対応や公平公正に対する不信などについて不安の解消を求める異例の要望書を文部科学省に提出した。

 6月には、大学教授らが呼び掛け人となり、民間試験の利用を中止し、入試制度の在り方の再考を求める請願書を国会に提出。問題点として、各検定試験とCEFRとの対照表に科学的な裏付けがないこと▽試験の質について、実質的な審査が行われていないこと▽試験の運営が各団体に委ねられ、第三者が監視する仕組みがないこと▽受験生全員がトラブルなく受験できるめどが立たないこと▽受験料が高額で都市部と地方で受験機会の不平等があること-などを挙げる。

 呼び掛け人の一人、京都工芸繊維大の羽藤由美教授(応用言語学)は「どの問題も深刻で、“不合理のデパート”のような制度。入試に挑む受験生のことを考えず、国の意向に従う大学の責任は大きい」と批判。「今からでも民間試験の利用はやめるべきだ」と訴える。

 こうした声を受けて文部科学省は27日、民間試験の実施概要や大学別の利活用を閲覧できる「大学入試英語ポータルサイト」を開設。ただ、未確定な部分が多く、大学側の具体的な利用方法も未定が目立つ。大学入試室は「情報は随時更新していく。試験の実施団体にも丁寧な説明を求め、受験生に不利益が出ないよう努める」と説明、来年度実施に変更がないことを強調した。

7種の試験 異なる受験方法

 大学入学共通テストに導入される英語民間検定試験は、6団体7種が予定されており実施方法、受験料などが異なる。会場確保などのため、来年4~7月実施分の予約申し込みを今年9月に始める試験もあり、全体像がようやく見え始めた中で受験生は選択を迫られる形になっている。

 7種の試験のうち、通信教育大手ベネッセコーポレーションが行う「GTEC」は、主に中高生向けに開発されたもので全国の高校に浸透。共通テストでも多くの受験が見込まれる。

 試験は点数評価のスコア型で「読む・聞く・書く」は解答用紙に記入、「話す」はタブレット端末を使って音声を吹き込む。現行は学校で申し込み、学校で実施されるが共通テストでは別会場を設ける方針。申し込み方法、実施地域、会場は10月に発表予定という。

 幅広い世代になじみのある英検は、共通テスト用に新型3種「CBT」「S-CBT」「S-Interview」を用意。メインの「S-CBT」は「読む・聞く・書く」を解答用紙に、「話す」はコンピューター画面に向かって音声を吹き込む形式となる。「CBT」「S-CBT」は1日で実施。3種とも問題数や形式、難易度は従来と変わらないという。申し込みは2段階設定され、第1回検定の予約は9月中旬から受け付ける。

 このほか「ケンブリッジ英検」「IELTS」「TEAP」の「話す」試験は、いずれも面接官との対面式を採用する。大学での授業に必要な英語力を試したり、留学希望者向けだったり。またビジネスに活用されるなど各試験にはさまざまな特徴がある。会場や受験料などの制約はあるが、受験生には自分に合った試験を選ぶことが望まれる。

数学、文章記述見送り

 2020年度に始まる大学入学共通テストで、英語の民間検定試験導入とともに目玉とされているのが国語と数学の記述式問題だ。しかし大学入試センターは、数学で検討していた文章で解答する記述式問題を初年度は見送る方針。昨年11月の試行調査で記述式問題の正答率が低迷したことなどが理由で、本番では数式のみを記述させる方式にするという。

 共通テストは、現行の大学入試センター試験と同じマークシート式が基本だが思考力や表現力を問うために国語と数学で記述式の導入が決まっている。数学では「数学1」「数学1・A」で小問3問を出す。昨年の試行調査では「数学1・A」で小問3問の正答率が最大で10.9%。文章で解答する問題は3問中最低の3.4%にとどまった。

 国語は小問3問が記述式で解答字数の上限は最も長い問題で「80~120字程度を上限」。残りの2問は「それよりも短い字数」と下限は設けない。試行調査では3問を「20~30字程度、40~50字程度、80~120字程度」としていた。

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