ラーニング・ピラミッドに着目を 大宮登氏

西日本新聞 オピニオン面

高崎経済大名誉教授 大宮登氏 拡大

高崎経済大名誉教授 大宮登氏

◆新しい学びの形

 学生たちが地域課題に真摯(しんし)に向き合い、地域の大人たちと協働しながら、地域づくり活動を行うと見違えるほど成長する。なぜ、地域づくり活動は学生たちの成長を促すのだろうか。その答えの一つが「ラーニング・ピラミッド」なのではないか。

 アメリカ国立教育訓練所が、どんな学び方が定着するかを示した「ラーニング・ピラミッド」の報告は示唆に富む。学びの定着率は「講義(5%)」「読書(10%)」「視聴覚(20%)」「デモンストレーション(30%)」「グループ討議(50%)」「自ら体験する(75%)」「ほかの人に教える(95%)」であるという。科学的根拠は希薄であるという批判もあるが、自らが主体となって考え、調べ、探求し、グループメンバーと話し合い、相互に学び、伝えあう、アクティブ・ラーニング(能動的学修)が、確実に自分の力となる。

 北九州市立大の見舘好隆教授が指導している学生たちの海外インターンシップは、異文化の地に赴いて「自ら体験する」からこそ、強烈な学びにつながるのだろう。熊本大の上野眞也教授が支部長となっている日本地域政策学会九州・沖縄支部の先生方も盛んに地域づくり活動を仕掛けている。

 ラーニング・ピラミッドについて考えているときに、群馬県で「利根沼田夢大学」の「第1回夢授業&夢プレゼン」が今年8月、開催された。この地域で育ち別々の学校に進学している高校生たちが、この地域の元気づくりのために仮想大学を立ち上げた。学長も副学長も高校生。学生は中学生5人が入学した。私も誘われて、夢大学の授業に参加した。5人の中学生は高校生たちの進行で、自分たちの夢企画のプレゼンテーションをした。いずれも面白いプレゼンテーションだった。その夢企画に従って、参加者たちが自由に語り合うワールドカフェを行い、夢実現に向けての意見交換を行った。これから毎月1回集まって、企画を煮つめて12月に最終プレゼン大会を開催する予定である。

 高校生と中学生がともに自主的に学び合う機会は、貴重な経験となる。これからどのように企画が実現できるのか、そしてまた、この活動を通して、メンバーがどのような成長を遂げるのか、本当に楽しみである。新しい学びの形が生まれている。

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 大宮 登(おおみや・のぼる)高崎経済大名誉教授 1951年生まれ、山形市出身。高崎経済大地域政策学部では大学と地域連携に関する実践的教育にかかわる。日本地域活性学会会長、地域活性化伝道師なども務める。専門は社会学。

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