「親ががん患者に」 思春期の友を応援 東京の高校生本藤さん 自身の経験踏まえ交流の場 悩みや不安を吐き出し、共有

西日本新聞 医療面

親ががんになった思春期の子どもたちのサポートに取り組む本藤幹己さん(右)と母克子さん 拡大

親ががんになった思春期の子どもたちのサポートに取り組む本藤幹己さん(右)と母克子さん

 親ががんを患った思春期の子どもたちをサポートしようと奮闘している高校生がいる。都内の通信制高校に通う本藤幹己(もとき)さん(18)。母親の乳がん発症で精神的に不安定になった経験から、同じ境遇にある子ども同士が語り合い、悩みや不安を共有できる場の必要性を強く感じた。「同世代の僕だからこそできるサポートを」と、7月に初の交流会を都内で開催した。

 幹己さんの母克子さん(51)にステージ2の乳がんが見つかったのは2016年6月。幹己さんは中学3年生だった。前年に大好きな祖母を肺炎で亡くしていた。「死の強烈なイメージ」が鮮明に残る中での母の病は大きなショックだった。

 ●母を支えたい

 克子さんは左乳房の部分切除手術を経て、抗がん剤治療に。目の前に副作用に苦しむ姿があった。父は単身赴任中、弟は中学受験を控えた小学6年生。「自分が支えにならなければ」と気を張り、何をするにも母を優先するようになる。「ストレスをため、自分の心がすり減っていくことに気付きませんでした」と振り返る。

 非日常化する家の中と、以前と変わらぬ日常が流れる学校とのギャップもつらかった。学校の先生や友人に気持ちを吐き出すこともできず、精神的に孤立。2週間ほど学校に行けなくなった時期もあった。

 ●自分を生きる

 克子さんは当時の幹己さんについて「思春期特有の葛藤も重なり、抑うつ状態にあったようだ」と話す。通院先には主に小学生以下が対象の子ども支援室もあったが、幹己さんのサポートは「難しい」と言われた。「がん患者には患者会があり、幼い子には支援があるのに、思春期の子が頼るべき場所がなくて困った」と訴える。

 幹己さんは心療内科や精神腫瘍科を受診。気持ちが安定する直接のきっかけとなったのは、診てもらった小児科医の言葉だった。「家族が病気でも、自分の人生を生きなさい。友達と楽しんで、好きなことをしていいんだよ」。気持ちがふっと軽くなった。

 再び「自分」を主語にして考えられるようになると、やるべきことが見えてきた。「かつての僕のように誰にも頼れず、苦しんでいる思春期の子どもたちのサポートをしたい」

 ●「等身大で語る」

 4月、交流会開催の動機や活動方針などを記した計画書を作成し、がん啓発イベントで出会った患者支援団体の代表らに助言をもらった。「医療や心理の勉強をしてからでいいのでは」「高校生には無謀」という意見もあったが、子ども主体は譲らなかった。「大人と話したいわけではない。子ども同士が等身大で気持ちを吐き出せる場が必要だと思う」

 チラシやホームページを自作し、7月下旬に初の交流会にこぎ着けた。参加者は関東や関西の中1から20歳までの男女5人。オブザーバーとして心理カウンセラー1人も寄り添った。

 ゲームなどで打ち解けながら、親のがんの状況やつらいこと、周囲に求めることなどを語り合った。「看病があるのに就職できるのか」「自分も同じがんになるのでは」といった悩みも出たという。

 初めての交流会でしかも進行役。「とにかく必死でした」と苦笑いするが、「同じ境遇の仲間と初めて話せて楽になった」との声もあり、手応えはあった。半面、話を聞くだけでなく、悩みや相談を専門家につなぐネットワーク構築の必要性も感じたという。

 高3の今、大学受験が目の前に控える。それでも「同年代にしかできないことなので」と、定期開催を目指す。将来的には会員制交流サイト(SNS)なども活用し、全国に活動を広げていきたいと考えている。10月下旬、都内で2回目の交流会を開く予定。問い合わせはメール=amairo.motok1@gmail.com

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