カジノ争奪本格化 立地区域選定、最大3ヵ所 横浜、米IR大手が熱視線 大阪、交通インフラで先行

西日本新聞 総合面

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致の動きが活発化している。かねて本命とみられてきた横浜市が8月下旬に立候補を表明。大阪府・市は2025年の大阪・関西万博前の開業をにらみ、九州では長崎県が佐世保市の大型リゾート施設ハウステンボス(HTB)への誘致を掲げる。9月にも予定される政府の基本方針案公表を前に、最大3カ所の立地区域入りを目指す自治体間競争が激化しそうだ。

 「全国各地で動きがある中で、厳しい競争に勝ち残っていかなければならない。しっかりとした魅力のあるIR計画を組み立てていくことが最重要課題だ」。長崎県の中村法道知事は、8月下旬の定例会見で横浜参戦の受け止めを問われ、こう応じた。

 横浜港・山下ふ頭への整備を計画する横浜市は、IR推進に積極的な菅義偉官房長官の地元でもある。羽田空港や東京都心に近く、横浜が名乗りを上げると早速、米IR大手の「ラスベガス・サンズ」は大阪への入札参加を見送り、首都圏に注力すると表明した。

 一方、横浜市は候補地の山下ふ頭を利用する業者らでつくる横浜港運協会が、ギャンブル依存症の問題などを理由に誘致に反対。立ち退きには応じない姿勢を示すなど火種も抱える。

 大阪府・市は約10年前、誘致にいち早く名乗りを上げた。大阪・関西万博の開催地である大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)を候補地に投資規模9300億円、年間売上額は4800億円を見込む。既に地下鉄延伸などの交通インフラ整備に着手。独自のギャンブル依存症対策を検討するなど、他自治体の動きをリードする。

 8月に大阪市で開かれたIRに関するフォーラムで、松井一郎市長は各国のIR事業者トップらを前に「大阪ほど住民とも具体的に協議して準備を進めている候補地はない。日本でも注目されるエリアをつくりたい」と力を込めた。大阪への進出を目指す「日本MGMリゾーツ」のジェイソン・ハイランド社長も「歴史や文化、空港や鉄道、海上交通などのインフラが整っており、大阪が一番適している」と呼応した。

 来年の東京五輪・パラリンピック後の観光客誘致や地域活性化の切り札として、IRへの期待は大きい。関西では和歌山県も和歌山市の人工島「和歌山マリーナシティ」への誘致を表明。北海道や千葉市も誘致を検討しているほか、東京都、愛知県などでも構想がある。

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■長崎、官民で「地方枠」狙う 新幹線、道路網整備に課題

 巨大な市場がある大都市圏の横浜市と大阪市が本命視される中、長崎県が狙うのは「地方枠」。大都市にはない地方の特性に磨きをかけるのが得策とにらむ。

 全国平均の4倍のペースで人口減が進む長崎では、地元経済界がかねてIRに着目。中村法道知事は2014年3月に県議会で正式に誘致を表明し、17年10月にはIR推進室を新設した。海外のIRを視察し、県民向け説明会を重ねるなど、官民一体で機運を高めている。

 九州では宮崎県や北九州市も関心を寄せるが、ギャンブル依存症対策や広大な用地の確保などクリアすべき課題の多さに二の足を踏む。そんな地方のライバルを抱き込むのが長崎の戦略。九州とアジアとの交流の歴史、温泉や豊かな自然を生かしたIRをコンセプトに掲げ、九州地方知事会などで賛同を求めてきた。

 県は、年間約300万人が訪れる候補地のハウステンボス(佐世保市)との相乗効果により、九州全域で約2万2千人の雇用を生むと試算。経済波及効果は年間約2600億円に及ぶと見込む。

 今年4月にはHTB内の敷地約30ヘクタールを確保。シンガポールなどでIRを手掛ける事業者が長崎に4千億~5500億円規模の投資を表明しており、「経済効果はもっと大きくなる」と県の担当課の鼻息も荒い。欧米やアジアなどの事業者約20社にヒアリングを実施し、絞り込みを進める。

 課題は長崎と他都市を結ぶ交通網の整備だ。年間集客見込み延べ740万人を運ぶ軸となる九州新幹線西九州(長崎)ルートは先行きが見通せない。道路網の整備も遅れ、HTB周辺の混雑が予想される。県の資料にも「輸送力不足」「容量不足」との文言が並ぶ。

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