おたふくかぜで精巣にダメージも【しもじもの話】

西日本新聞 くらし面

 3年前から時々、カンボジアの田舎にある病院に行き、短期医療ボランティアをしています。そんな話をすると、「性病が多いの?」なんてとんちんかんな質問が…。泌尿器科は外科の一分野。もちろん手術をしています。

 カンボジアは食習慣の違いや気候の影響から、日本より膀胱(ぼうこう)結石ができやすい地域です。内視鏡手術で結石を取り出すことができる日本と違い、カンボジアはまだまだ医療機器も発展途上。一昔前の治療法、おなかを切って結石を取り出す手術です。若手医師の最新技術よりも、昔取ったきねづかで、“アラ還(かん)医師”の古い技術が役に立つのです。

 海外は気候や生活環境、衛生状態が日本と大きく違います。普段は注意する必要のない細菌やウイルス、寄生虫などが体に侵入して感染症にかかるかもしれません。予防できるものは予防して自分の体を守ることが必要です。

 そこでカンボジア初訪問の際には、事前にA型肝炎、狂犬病、破傷風などの予防接種を受け、蚊に刺されないように虫よけスプレーを持参。おかげで体調不良のトラブルはなく、カンボジア訪問を続けることができています。

 ところで、ほっぺが腫れ高熱が出て、難聴の原因にもなるおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)。予防接種は定期接種ではなく、希望者のみに行う任意接種です。そのため日本での年間患者数は推定数十万~百数十万人で、他の先進国より多いという問題があります。

 多くは小児期に感染し、その後かかることはありません。かかったことがない男性、予防接種を受けていない男性は要注意。男性が思春期以降におたふくかぜになると、発熱と精巣(睾丸(こうがん))の炎症によって精子をつくる機能が低下します。ダメージが大きいと、精子ができなくなります。大変です。

 心配な人は医療機関でおたふくかぜの抗体検査を。もし抗体ができていなければ、精巣を守るためにも予防接種を受けましょう。

 実は私、感染症に負けない強い体になったつもりが、おたふくかぜの抗体検査を忘れていました。早速検査を受けようと思っています。

 (泌尿器科医・池田稔)

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