がん保険 現場は悲鳴 二重払い防止制度1ヵ月前倒し

西日本新聞 社会面

 日本郵便は2日、アフラック生命保険から受託して販売するがん保険について、乗り換え契約時に発生していた保険料の二重払いや無保険状態を解消する「条件付き解約制度」を導入した。10月からの導入予定だったが、批判の高まりを受け、1カ月前倒しした。複数の関係者によると、急な方針転換で現場の一部に混乱が生じているという。販売を担当する郵便局員や顧客からは、営業継続を疑問視する声も出ている。

 がん保険を巡る問題については、西日本新聞が8月21日付朝刊で、2018年5月からの1年間で二重払いと無保険状態が10万件以上発生していると報じた。これに対し、日本郵便とアフラック社は「不適切な販売ではない」との見解を発表。日本郵便は改善策として、今年10月から「条件付き解約制度」を導入するとしていた。

 しかし、日本郵便は8月30日に「お客さまの声にお応えできるよう特別対応を開始する」と前倒しを発表。急な方針転換の背景には、社会的な批判の高まりがあったとみられる。

 一方で、営業現場からは「こんな状態では販売できない」と不満の声が噴出し、東海地方の郵便局長は「会社の方針がころころ変わり現場は混乱している」と困惑。九州の局員は「研修も受けないまま新制度が始まるのは不安だ。こんなにすぐに導入できるのなら、アフラックが問題点を指摘した14年時点で早急に対処すべきだった」と憤る。

 かんぽ生命保険の不正販売問題が発覚した7月以降、日本郵便はほとんどの保険商品の営業を自粛しているが、アフラック社の商品の営業は継続。理由について、日本郵便とアフラック社は「不適切な販売を生じさせにくい構造になっている」と説明する。

 ただ複数の局員は本紙の取材に、アフラック社の商品でも不適切な契約が疑われるケースがあると証言する。軽度の認知症だった山口県の女性(71)は17年5月に契約内容を理解しないまま2件のがん保険に加入させられ、次男(37)が抗議したところ保険料全額が返還された。次男は「局員の販売姿勢によって不正が起きており、がん保険だけ営業を続けるのは明らかにおかしい」と批判する。

 関東の局員は「問題が起きているのに営業継続にこだわる理由が分からない。いったん営業をやめて、信頼回復に努めるべきだ」と訴える。

【ワードBOX】アフラック商品の保険料二重払い

 アフラック生命保険のがん保険は、がん患者の加入を防ぐため、加入後3カ月間は保障が受けられない。このため乗り換え契約の際、顧客は3カ月間、新旧の保険料を二重払いするか、無保険状態を選ぶことになる。アフラック社は2014年、乗り換え時に新規契約分の保険料を支払うだけで済む「条件付き解約制度」を導入。販売を委託する日本郵便にも同じ制度の導入を繰り返し提案したが、日本郵便側の対応が遅れていた。二重払いと無保険状態が生じた契約は18年5月~19年5月に約10万4千件に上っている。

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