発火の恐れも…ごみに苦闘する浸水の街 九州北部大雨 仮置き場満杯に

西日本新聞

 記録的大雨による浸水被害が大きかった佐賀県では、膨大な災害ごみの処理が大きな課題となっている。武雄市では、水に漬かった家財道具などを仮置き場に持ち込む市民やボランティアが後を絶たず、既に3カ所で受け入れを停止。大町町では鉄工所から流出した油が付着したごみが多く、発火の恐れもある。今後も大量のごみ搬入は続くとみられ、関係自治体は手探りで対策を模索する。

 たんすや畳が積み重なった仮置き場は油のにおいが鼻を突いた。3日午後、大町町民グラウンド。自宅に流れ着いた油まみれの鉄くずなどを持ち込んだ千々岩文夫さん(68)は「水が引いてようやくごみを運び出せるが、油の付着もあって元通りになるのは長い時間がかかる」と肩を落とす。

 同町の災害ごみは今のところ、県東部の施設が処理を検討している。担当者は「油が付いたごみは一般廃棄物として焼却するが、油量が多いと乾燥の工程で発火する恐れがある」と懸念する。

 油の浮いた水に漬かった同町の順天堂病院の一帯では、住民たちが自宅の清掃を始めたばかり。今後、油ごみはさらに増える可能性がある。町も「家や畑に染みこんだ油の除去が大きな課題だが、妙案はない」。

 「ごみが多すぎて、手が回らない。次は冷蔵庫を搬入する」。武雄市北方町の北方運動公園に、市内の飲食業島内崇成(しまのうち・たかのり)さん(48)は軽トラックでたんすを運び込んだ。息子と汗だくで荷台から粗大ごみ置き場に移した。

 市内に住む親戚の80代女性は自分で運ぶことができないため、こまめに声を掛けて手伝っている。高齢者は身内かボランティアらに頼るほかない。島内さんは「昔ながらの人のつながりが強い地域。行政の手が間に合わないなら、動ける人が動けばいい」と汗をぬぐった。

 市内5カ所の仮置き場のうち3カ所はごみの量が多くなり、8月末から順次受け入れを停止した。市は「搬入が続けば仮置き場を探すが、適地がなければ市外も検討する」と話す。

 県によると、同市を含む広域でごみを処理している同県伊万里市の施設は一日205トンの焼却能力があるが、追いつかないという。県内には3日現在、3市3町に仮置き場があり、ごみの量は膨大になりそうだ。

 県は県内の他の自治体に受け入れを打診。さらに民間業者や県外の処理施設への委託も視野に入れているが、県循環型社会推進課は「できるだけ早く処理したいが、見通しは立たない」と、ごみとの格闘に頭を抱えている。

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避難なお156世帯 犠牲4人に

 九州北部を襲った記録的大雨は4日、発生から1週間を迎える。佐賀県は3日、行方不明となって遺体で1日に発見された同県武雄市の50代女性について、大雨による犠牲者と認定。福岡、佐賀両県での死者は計4人になった。

 同県などのまとめによると、住宅の全半壊や一部損壊は6棟で、床上浸水は932棟、床下浸水は1353棟。このうち特に被害が大きかった武雄市と大町町では床上浸水は計717棟、床下浸水は551棟に上った。被害は調査中で、さらに増える可能性がある。

 3日午前7時現在、ボタ山で土砂崩れが起きた大町町などで156世帯300人が避難している。鉄工所から油が流出した同町周辺では、自衛隊などによる油の除去作業が続いている。

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