玉名中央病院 続く不祥事 前理事長に過度な権限 新病院へ運営改善急務

西日本新聞 熊本版

8月9日、記者会見で相次ぐ不祥事を謝罪する山下康行理事長(中央) 拡大

8月9日、記者会見で相次ぐ不祥事を謝罪する山下康行理事長(中央)

不祥事が続いている公立玉名中央病院。2021年の新病院発足に向けて体質の刷新が求められている 公立玉名中央病院の不祥事

 8月、研究費を流用した疑いで前理事長の嘱託医を懲戒解雇するなど3件延べ10人の処分を発表した公立玉名中央病院(玉名市)。不祥事が続いた背景として、前理事長への過度な権限集中や事務職員の人材不足によるチェック機能の低下が指摘されている。地域の中核病院として根本的な運営改善が迫られそうだ。

 「組織の構築が脆弱(ぜいじゃく)で不十分。定期的に幹部会を開き、権限が集中しないようにしたい」。病院を運営する地方独立行政法人くまもと県北病院機構の山下康行理事長は、記者会見で危機感をあらわにした。

 病院側は、前理事長が院内の研究費口座から高級外車購入に約730万円を支出したと説明。会計課が6月に調査に着手し、急転直下で解雇に踏み切ったが、外車の車種や台数は不明で、前理事長から返金の同意も得られていない。

 前理事長は、09年4月に院長に就任。病院が地方公営企業法の対象となった11年からは企業長も兼任してきた。玉名郡市医師会が運営する玉名地域保健医療センターとの統合に道筋をつけ、両病院を傘下に置く病院機構理事長に就いた。

 この間、不祥事や事務の不手際も多発した。

 病院は15年、患者のデータを管理するソフトを不正使用したと指摘されソフト制作会社側に約201万円を支払った。病院は、新聞報道で発覚するまで不正を公表せず、病院を運営していた玉名市と玉東町でつくる一部事務組合の議会にも報告しなかった。

 昨年5月には、課長補佐(退職)の残業時間が1カ月で最長201時間に達したことが判明。病院側は「コンピューターを理解できる代わりの人材がおらず、長時間労働が解消できなかった」と釈明した。

 公立玉名中央病院は、旧玉名町などが設置した玉名済春病院を引き継ぎ1981年に発足。この頃、規模拡大に伴い採用された事務職員が近年は中枢を担っていたが、電算化に対応しきれなかったという。

 今回、病院が診療報酬加算約8846万円を過大請求した問題で停職処分となった前事務部長と前総務課長(ともに依願退職)は、定年後の再雇用者として今年4月から、それぞれ機構統括局次長と医療安全管理室長を務めていた。「戒告相当」とされた元事務部長は2度目の再雇用ながら、機構統括局長と会計課長を兼任している。

 ある玉名市議は「事務職員は外部との人事交流がほとんどなく、人材育成が難しかった。事務の透明化や情報公開にも対応しきれなかった」と指摘する。

 玉名市は4月から事務部長を派遣したが、あくまで緊急措置と位置付ける。玉名市長は、同市と玉東町で構成する法人設立組合の組合長として、病院機構の理事長を任命する権限を持つが、運営には直接関与しない仕組みだからだ。

 玉名地域保健医療センターとの合併と新病院発足を2021年に控える公立玉名中央病院。合併に向けた準備と並行して、職員の長時間労働や診療報酬請求に法令違反がなかったか、一連の不祥事を受けて精査する作業が続く。前理事長の横領事案についても、病院側は「処分後に不服申し立てがあった。全容解明には時間がかかる」としている。

 島崎賢二事務部長は「多くの職員は患者さんのため真面目に働いていることを理解してほしい」と訴えた。信頼に応える組織に生まれ変わるか、地域も注目している。

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