保護者仲間の自殺がきっかけ…「いのちの電話」支える1期生

西日本新聞 北九州版

 社会福祉法人「北九州いのちの電話」(小倉北区)にボランティア相談員1期生の女性がいる。冨安兆子(よしこ)さん(85)。相談員は孤独に悩む人から電話で話を聞いて自殺防止に取り組む重責だ。しかも24時間365日対応なので交代で夜勤もあり、慢性的になり手が不足している。それでも冨安さんは「地味で大変なボランティアだけど自分の成長にもつながる」と参加を呼び掛けている。

 「少し楽になりました」「とりあえず今日はこれで寝てみます」。電話口の沈んだ相談者の声が少し明るくなる。「相談員をやっていて良かったと思える瞬間」と冨安さんは語る。

 いのちの電話は全国に約50カ所あり、それぞれが独立運営し、全国組織の「日本いのちの電話連盟」に加盟している。北九州いのちの電話は1977年、全国で5番目に設立。ほぼ同時に全国組織の連盟も北九州で発足した。連盟事務局はかつて北九州にあり、冨安さんは「歴史のあるセンター」だと胸を張る。

 冨安さんは発足前の準備委員会設立から関わった。きっかけはPTA活動をしていた時に、保護者仲間が自殺したこと。後に一人娘の進学の悩みが原因だったと知った。「話してくれたら一緒に考えられたのに」。ショックの記憶は消えなかった。

 患者を自殺で失った精神科医の故秋山聡平さんが、東京で71年に始まっていたいのちの電話事業をラジオで紹介。ラジオを聞いた市民約40人が設立の1期生になった。冨安さんもPTAで交流のあった心理学者に誘われ参加した。

 1年以上の準備期間を経て、8月15日午後5時半に北九州いのちの電話は開通した。一斉に電話が鳴ったのを鮮明に覚えている。初日に12件だった相談は、1日約80件を超える日もあるようになった。

 相談員は5年ほど前に退いた。他の活動などから名前を知られ、相談者から指名されるようになったためだ。匿名で気兼ねせず話してもらうのが趣旨。相談員も匿名が強く求められる。今は北九州いのちの電話の「顔」として、講演会への出席や相談員の指導に専念している。「長年の経験の蓄積を皆に伝える」と意気は衰えない。

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 事務局は第46期ボランティア相談員を募集している。10月5日から来年3月まで講習がある。

 テキスト代を含む受講料3万円が必要。応募、問い合わせは事務局=093(652)6628。北九州いのちの電話の相談番号=093(671)4343。

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