香港、逃亡犯条例改正撤回 行政長官が正式表明

西日本新聞 一面

 【北京・川原田健雄】香港政府トップの林鄭月娥行政長官は4日、テレビで演説し、中国本土への容疑者引き渡しを可能とする「逃亡犯条例」改正案を正式に撤回すると表明した。条例改正に反対する市民の抗議活動が拡大し、撤回に追い込まれた形だ。中国建国70年の節目を10月1日に控え、事態を早期に沈静化させたい考えだが、市民の要求は普通選挙の実現などにも広がっており、収束に向かうかは不透明だ。

 条例改正案を巡っては、中国共産党に批判的な民主活動家らの拘束や引き渡しにつながりかねないとして、6月上旬から市民による大規模デモが相次いだ。林鄭氏は6月に改正案の廃案方針を表明。7月には「条例案は死んだ」と発言したが、正式な撤回を明言しなかったため市民の抗議活動が長期化していた。

 林鄭氏はテレビ演説で「市民の疑念を完全に取り除く」と条例改正案の撤回を表明。市民らが求める「警察の暴力に関する独立調査委員会の設置」には応じない方針を改めて強調した。

 市民らが掲げる「五大要求」には、条例改正案の撤回と独立調査委設置のほか、普通選挙の実現などが含まれる。デモ隊側は「一つも欠くことのできない要求」と主張しており、6月の大規模デモを主催した民主派団体は4日、「闘争を続ける」との声明を発表した。条例案撤回の表明でむしろ抗議活動が勢いづく可能性もある。

 約3カ月に及ぶ抗議活動は香港各地に広がり、過激化した一部の若者と警官隊の衝突が常態化。9月に入って中高生の授業ボイコットや多業種にわたるゼネスト、香港国際空港の占拠にまで拡大した。

 撤回表明の報道を受け、香港株式市場のハンセン指数は前日の終値比で一時4%超の急上昇となった。抗議活動が沈静化に向かうとの思惑から買いが優勢になったもようだ。

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