天ケ瀬温泉街にカフェバー 元協力隊の近藤さん開店 「縁」の広がり願って

 地域おこし協力隊員として3年間、日田市天瀬町で活動した近藤真平さん(31)が8月、天ケ瀬温泉街の一角にカフェバー「fuchi(ふち)」を開いた。大きな窓からは玖珠川が見下ろせ、店内では流れが緩やかな場所で魚が身を休めるかのように地元住民や観光客らが穏やかな時間を過ごしている。近藤さんが目指す「天瀬の内と外をつなぐ場所」としてファンが増えそうだ。

 近藤さんは出身地のさいたま市で、自然が少ないながらも物に不自由しない生活を送っていた。しかし2011年の東日本大震災の影響で物流が滞り、近くのスーパーに物がなくなり、空になった自宅の冷蔵庫を見て「これが本当に豊かな生活か」と考えるようになった。

 同市で就職し、結婚もしたが、仕事に追われる日々。利益を追い求める会社が「理不尽」に思え、疑問は膨らむ一方。第1子の誕生を機に移住を決意し、16年7月、妻の出身地の日田市が募集していた協力隊に就任した。

 隊員任期中の3年間、天瀬町の文化や魅力を地域の人とともに継承していくためにはどうすべきか考えた。その取り組みとして、天ケ瀬温泉街をPRするために実施していた「出張足湯」のエリアを拡大、廃校になった旧桜竹小の校舎を活用したイベントも開催。「酒を酌み交わす場が無い」という住民の要望に応え、玖珠川河川敷の仮設テントで酒や食事を提供する「テントバー」も開いた。

 任期が終了した今年6月以降も「一事業者としての視点を持って持続可能なまちづくりに関わりたい」と町に残ることを決意。テントバーの経験を生かし、カフェバーをオープンさせた。店名にはゆっくりと水が流れる川の「淵」で、店で生まれた「縁(えん)」(訓読みは「ふち」)が天瀬の内外に広がってほしいとの願いを込めた。

 今、近藤さん方の冷蔵庫にはスーパーで買った物以外に知人からもらった野菜などが詰まっている。

 「何が起きても何とか生きていける生活。お金があれば生きていける都会とは違い、ここには人のつながりがある」

 近藤さんは都会よりも豊かな生活が感じられ、温泉が身近な天瀬の魅力をこれからもつないでいくつもりだ。

 営業日は金、土、日曜の午後1時から同11時(日曜は同5時まで)。

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