民主主義を辞書で引くと〈人民が主権を持ち、人民の意思を基にして政治を行う主義〉…

西日本新聞 オピニオン面

 民主主義を辞書で引くと〈人民が主権を持ち、人民の意思を基にして政治を行う主義〉。何を当たり前のことを、と言われようか。民主国家に暮らす私たちには、空気や水のように当たり前の存在と感じられるから

▼だが、その成り立ちはかなり物騒だ。17世紀以降、英国の清教徒革命や名誉革命、米独立戦争、フランス革命…。市民は武器を取って専制君主と戦い、議会制度や参政権、自由や平等などの権利を手にした

▼他国の歴史をひもとくまでもない。私たちが恩恵を受けている日本の制度も先の大戦による犠牲の上に築かれた。民主的な制度は天賦のものではない-。昨今の香港を見て改めてそう思う

▼中国本土への容疑者の引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案。市民が必死の抗議活動で撤回に追い込んだ。中国政府が約束した一国二制度のなし崩しが進む中で、体を張って「高度な自治」を守っている

▼一方、かつて香港を統治し、民主主義のお手本だった英国は、欧州連合(EU)離脱問題で大混乱。政治家は目先の利害を言い立て、国民不在の不毛な論争が続く。民主主義という果実も成熟を極めれば腐敗するのか

▼世界では民主政治への失望が広がり、強権政治の台頭が目立つ。そんな今だからこそ、チャーチル元英首相の言葉に耳を傾けたい。〈民主主義は最悪の政治形態とされる。ただし過去に試された全ての政治形態を別にすれば〉

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