高齢者や障害者の再犯防止へ 「入り口支援」の確立目指す 福岡県がモデル事業開始

西日本新聞

 犯罪や非行を行った人の再犯防止に向け、福岡県は、福祉的支援が必要な起訴猶予者などを継続的に支援する「立ち直りサポートセンター」を開設する。比較的軽微な罪を犯した高齢者や障害者、再犯率が高いとされる薬物犯罪者や性犯罪者を対象に個別支援計画を作成し、安定した生活基盤が実現できるまで、就労や住まいの確保、見守り支援などに取り組む。開設日は10日。

 法務省の地域再犯防止推進モデル事業の一環。2020年度までの2カ年事業で、起訴猶予処分や執行猶予判決が見込まれ、刑務所での服役に至らない人を福祉面から支える「入り口支援」の体制や手法の確立を目指す。運営は、刑務所を出た後の「出口支援」で実績がある北九州市のNPO法人「抱樸(ほうぼく)」と、県社会福祉士会に委託する。

 事業では、検察庁や弁護士の要請に基づき、勾留期間中などの早い段階から、専門のコーディネーターが福祉的支援を必要とする容疑者と面談。生活状況などの相談に乗り、福祉施設や医療機関とつないだり、就労や住居の支援に当たる。社会福祉士が個別支援計画の作成を支援。支援対象者の特性別対応マニュアルやモデル事例集も作成し、ノウハウの蓄積に生かす。

 「入り口支援」は、これまでも検察庁や保護観察所が実施してきた。ただ、勾留期間終了後の保護観察所による更生緊急保護期間は最大6カ月で、それ以降は公的な支援制度がないのが現状。センターの支援は勾留期間終了後から1年間を基本とし、必要に応じて延長を検討する。2年間で20~30人の支援を見込む。

 県によると、17年の県内の刑法犯検挙数は1万475人で、うち再犯者の割合は49・8%。一方、県は10年度から地域生活定着支援センターで「出口支援」に取り組んでおり、18年度末時点で、支援した571人のうち、再犯者は46人(8・1%)にとどまっている。県福祉総務課は「手つかずの入り口支援でも成果を上げ、再犯が減ることを期待したい。効果を検証した上で体制を整備し、モデル事業終了後も支援を継続したい」としている。

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刑法犯の再犯率増加 熊本、長崎、北九州市も入り口支援

 国内の刑法犯の再犯率は、2017年は48・7%に達し、年々高まっている。刑法犯の総人数の減少幅に比べ、再犯者数の減少ペースが鈍いためだ。刑事処分後や服役後も、高齢のため収入や住居が無く生活が不安定になったり、薬物依存の治療が不十分だったりして、再び罪を犯す例は少なくない。

 法務省の再犯防止推進白書によると、刑法犯検挙者数は04年の38万9027人から減り続け、17年は21万2003人で13年間で約45%減少した。一方、再犯者率は04年の35・6%から、17年は5割近くにまで上昇。12~16年には、65歳以上の受刑者や覚せい剤取締法違反罪の受刑者の約2割が、出所後も2年以内に再入所している。

 実態を踏まえて16年に施行された再犯防止推進法では、国だけでなく地方公共団体にも再犯防止を担う責務があると規定。民間支援団体などと連携し、社会復帰が困難な人に対する就労や居住支援を促している。

 国は比較的軽微な罪で起訴猶予処分などを受けた人が再犯で刑務所に入るのを防ぐため福祉面での支援も強化。18年度以降、12県3市が再犯防止モデル事業を活用し、「入り口支援」を進める。

 九州では熊本、長崎両県と北九州市がすでに入り口支援を始めている。熊本県は本年度、高齢者や障害者計8人を対象に継続的なサポートを開始。県の委託を受けた更正支援のノウハウを持つ社会福祉法人が、住居や就労相談に応じたり、職員が福祉サービスの手続きに同行したりしている。長崎県は薬物犯罪防止のため、治療プログラムにも力を入れている。

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