能面の神秘さに魅了され 80歳若松さんが初個展 7日から島原市

西日本新聞 長崎・佐世保版

 70歳を過ぎて能面打ち(能面作り)を本格的に始めた南島原市西有家町須川の若松義則さん(80)の初個展「能面展in速魚川」が7日、島原市上の町の猪原金物店の幕末座敷で始まる。石材彫刻店の3代目として磨いてきた職人の技を生かした約30の能面が、幽玄の世界に来場者をいざなう。10月27日まで。

 若松さんは高校卒業後、家業の石材彫刻店を継ぎ、半世紀以上、石碑や石仏を彫り続けた。40代のとき、福岡市の能面展で出合った面の「神秘的な美しさ」に魅了された。

 「いつか彫りたい」。秘めた思いは募り、店をたたんで2年後、72歳でKTN西日本新聞文化サークル(長崎市)の「能面打ち」教室に入会。月に2回通い、能面師の青木定夫さん(71)=熊本市北区=に師事し本格的に学び始めた。

 能面打ちは、手本とされる古い面を「写す」手仕事という。直方体の木曽檜(ひのき)から面の原形を削り出し、手本の面の型紙に沿って肌の曲線を描くように彫刻刀で整える。下塗り、顔料による肌の彩色の後、墨で髪や眉を「同じ太さで流れるように一息で引くのが一番難しい」。失敗すると下塗りからやり直しだ。最後に古色を出して仕上げるまでに一カ月ほどかかる。

 若松さんは自宅近くの元仕事場だった工房で終日能面打ちに集中し、これまでに150面以上を作った。「体調が悪くても彫刻刀を握ると良くなる。楽しくて飽きない」。能の歴史や文化も踏まえ、手掛けている面が使われる能楽を思い浮かべて打つことを覚えてからは「舞台で使えるだけの表情のある面を作れるようになった」(青木さん)。

 彫刻刀を求めて江戸時代の町屋を再生した猪原金物店(国の登録有形文化財)を訪ねたところ、同店がギャラリーも併設していることから、初個展が決まった。若い女性の「小面」から「翁」「般若」まで代表的な面を展示するほか、面に触れたり、制作過程を紹介したりする工夫も。期間中に島原城薪(たきぎ)能(10月19日)もあり、若松さんは「能面を間近で鑑賞する機会にしてもらえれば」と話す。

 入場無料。水曜定休。猪原金物店=0957(62)3117。

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