「もう少し遅かったら死んでいた」寝室に土砂、間一髪助かる 九州北部大雨

西日本新聞 佐賀版

 記録的な大雨が県内を襲って1週間以上が経過したが、佐賀市金立町の大門地区(約40戸)では土砂や流木が川をせき止め市道に流れ込むなど、深刻な被害状況が続いている。間一髪で助かったものの、自宅が土砂で押しつぶされ、途方に暮れる人も。生活再建のめどは立たず、「これからどうしたらいいのか」との声が上がる。

 「もう少し起きるのが遅かったら死んでいた」。同地区の古賀和幸さん(68)が振り返る。8月28日午前6時ごろ、「ドーン」とごう音が響き、30分ほど前までいた寝室に大量の流木や土砂が流れ込んだ。壁を破った土砂は古賀さんがいた居間にも達した。

 一緒に暮らす妻サツキさん(68)と母静代さん(93)は地元の公民館へ避難していたが、脳梗塞の後遺症がある古賀さんは「避難所では苦労する」と1人で残っていた。携帯電話は流され、助けも呼べない。1時間ほど居間の柱にしがみつき激流に耐えたが「このまま待っても、助かるか分からない」と家から出ることを決めた。

 立木の枝につかまり体を支え歩いた。敷地の出入り口は土砂で埋まっていたが、土石流が貫通していた小屋を通り抜け、敷地の外へ。だが「自宅前の道路は川になっていた」。道路を進むことをあきらめ、山手のビニールハウスへ避難、午前10時ごろレスキュー隊に救助された。

 古賀さんは2日からサツキさんと市営住宅に身を寄せるが、不安は尽きない。家業はキクやヒマワリなどを育てる花農家。同市大和町に住む次男栄志さん(31)が後を継いでいるが、自宅に隣接する作業小屋は、保管用冷蔵庫など設備一式が破損した。「もうあの家に住むのは無理だと思う。ただ、息子には仕事がある。どうしたらいいのか…」

 栄志さんの妻は今週にも双子の赤ちゃんを出産の予定。長男の繁輝さん(33)は「機械も新しくして、軌道に乗り始めたところだった。一からやり直しで、家族みんな途方に暮れています」と話す。

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 佐賀市によると6日現在、豪雨で全壊した一般住宅は3軒で、全てが大門地区。地区を流れる金立川は流入した土砂や倒木でせき止められ、隣の市道に水が流れ込んで陥没。5日から流木撤去などが始まったが、市道復旧のめどは立っていないという。

 県によると市内ではほかにも赤松、城内などの地区で計1113件の床上、床下浸水の被害が発生している。 

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