「菊竹金文堂」21日に閉店 江戸末期創業150年の歴史 久留米市内唯一、六ツ門店に幕

西日本新聞 筑後版

 街中から老舗書店の灯がまた一つ消える。江戸末期に創業した久留米市の「菊竹金文堂」の六ツ門店(同市六ツ門町)が21日に閉店することになった。六ツ門店は同社の市内に残った唯一の小売店。客の減少が続き、移転で売り場面積を絞って経費を抑え、店を守ってきたが、7代目の都渡(とわたり)良子社長(70)が苦渋の決断をした。教科書販売が中心の外商部門は継続する。

 同社は同市中央町で1861年、書店「二文字屋(にもんじや)」として創業、1905年には県の教科書特約店となった。1926年、近くに建築した旧本店ビル(2017年解体)は、喫茶を併設するなど現在の書店の形を先取りし、モダンな大正建築が市民に愛された。

 戦後の一時期には出版も手掛けた。北原白秋や横溝正史の書籍を刊行。最近は、日本映画界を代表する女優・原節子さん(2015年死去)のエッセーを掲載した雑誌「想苑」が、原さんの死後に見つかったことで話題になったこともある。同社で経営を学び、のれん分けを受けた弟子たちがつくったグループ「金文会」には福岡金文堂(福岡市)や金海堂(鹿児島市)など九州、四国、中国に約20の書店が今も残り出版文化に影響を与えた。

 1971年には福岡市・天神の福岡ショッパーズプラザに大型書店の先駆け「りーぶる天神」を開店。大分県、宮崎県、広島県にも進出し、地元でもJR久留米駅前や中心商店街に支店を置いた時期がある。

 近年は大手書店との競合やインターネット通販の普及、出版不況などの影響で徐々に客足が遠のき、不採算店を相次いで整理。1998年には旧本店ビルから同市東町の広又店に移転。広又店の閉店後は2003年に開店した六ツ門店に本店機能を移したが、17年12月、近くのビルの現店舗に移った。売り場を半分以下にしたが状況は好転しなかったという。

 閉店後も雑誌の定期購読者など希望する客には日ノ出町の事務所で、注文販売に対応する。都渡社長は「たくさんの方から惜しむ声を頂き、感謝の気持ちでいっぱい。高齢で遠出ができない常連のお客が気がかりで心苦しい」と話した。

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ