日田まで600キロ歩いた物語です 映画「引っ越し大名!」主演 星野源さん

西日本新聞

 公開中の映画「引っ越し大名!」は、江戸時代の国替えで姫路(兵庫県)から日田(大分県)まで藩全体が引っ越した物語です。主役の引っ越し奉行、片桐春之介を演じたのが星野源さん(38)。最初は書庫番として引きこもりがちだった春之介が成長する話でもあり、星野さんの持つ雰囲気とイメージがぴったりです。

 -片桐春之介は星野さんのキャラクターに合ってますね。

 ★星野 春之介は“引きこもり侍”で、家ではなく職場に引きこもっている。でも、本の世界から無理やり引っ張り出されて「引っ越し奉行」に任命される。そして、本の知識を生かして引っ越しする。僕がこの物語で好きなのは、内気な主人公が社会に出て、殻を破って開花する話です。自分を抑えて人に尽くす自己否定ではなく、好きなものを好きと言ってよい自己肯定の物語ですね。

 僕も中学1年から音楽と芝居を始めて、自分の好きなことを好きなように多くの人に届けたい、という部分で春之介に通じるものを感じます。

 -主人公の特徴は。

 ★星野 時代劇ですが、春之介は現代的なキャラクターだと思うんです。当時は、身分の上下関係が当たり前で、上司に背いたら切腹していた時代。その中で「人間は皆一緒でしょ」と考えたり、上司に「それは違うんじゃないか」と言ったり、江戸時代としては異端ですよね。でも現代の常識とすごくつながっていて、シンパシーを感じます。それで、所作や服装は最低限にして、なるべく現代的にナチュラルにしました。

 主人公はだんだん成長していくんですが、いくつかポイントがあります。周囲の春之介を見る目も、最初はさげすんでいますが、顔つきが変わって信頼されたり驚かれたりして。周囲の反応を鏡みたいにして成長を演じました。

 -映画全体の見どころは。

 ★星野 完成作品を試写で見て、子どもから高齢者まで楽しめる映画だと思いました。喜劇なのですごく笑っちゃうんですが、最後は予想もしなかった感動にたどりつくところが気持ちいいんです。犬童一心監督は「サラリーマンもの」と言っていて、企業の中で生きる厳しさとか、働くことの意味とか、現代人の抱える悩みも見ることができる。時代考証もしっかりしていて、細かいところを作り込んだリアリティーもある。だからといって難しいところは一つもないんです。

 -撮影は昨年春からだったんですね。

 ★星野 6年ぶりの主演映画で、すごく久しぶり。しかも初めての太秦(京都市)での撮影で、楽しみにしていました。でも撮影はすごく過酷で、初夏前から始め、撮影を重ねるにつれて暑くなるんです。朝の4時、5時に支度して。大変だったという記憶があります。

 -共演者はどうでした?

 ★星野 高橋一生君は、春之介の同僚で大柄な剣豪を演じました。監督の説明では「三船敏郎のファンのキャラクター」。普段はあまり見られない一生君が見られると思います。先代の引っ越し奉行の娘を演じた高畑充希ちゃんは、すごく肝が据わっていて、皆を演技で引っ張る人なので、役どころはぴったりでした。

 -姫路から日田に引っ越す話が中心です。

 ★星野 家族を含め1万人規模で600キロ歩いて移動したのが史実、というのがすごいですね。撮影では日田を訪問できませんでしたが、歴史がつながっているので、当時をイメージしてもらえればうれしいです。

 -九州の印象はどうですか。

 ★星野 ツアーで来ることが多く、九州はすごく好きです。博多を散歩して街が元気だなと感じます。熊本の馬刺しもおいしかったですね。

 -ご自身の引っ越しの苦労は。

 ★星野 あまりないんです。けっこう定期的に“断捨離”をするんで。でも、昔買った画びょうとか付箋とか、なぜか捨てませんね(笑)。

 ▼ほしの・げん 1981年生まれ。埼玉県出身。俳優、音楽家、文筆家。映画「箱入り息子の恋」(2013年)で初主演。新垣結衣と共演したテレビドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(16年)は主題歌「恋」とともにヒット。随筆には「いのちの車窓から」など。

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