アイドル編<435>ビッグバンド

西日本新聞

先月末に行われた「ダン石田とニューブリッコ」の公演 拡大

先月末に行われた「ダン石田とニューブリッコ」の公演

 先月末、福岡市のアクロス福岡の円形ホールで、「ダン石田とニューブリッコ」の定期公演が開かれた。松田聖子の「青い珊(さん)瑚(ご)礁(しょう)」や河合奈保子の「大きな森の小さなお家」などの1970年代から80年代のアイドル歌謡を生演奏で再現した。

 この昭和のアイドル曲専門のビッグバンドを立ち上げたのは、バンドのプロデューサーでバンマスの石田耽山(56)=福岡市早良区=である。

 「ビッグバンドといえばすぐにジャズ系を考えるでしょうが、アイドル歌謡に絞ったものは全国的に少ないと思います」

 石田は高校時代にブラスバンド部に入り、サックスを担当した。昭和歌謡の「伊勢佐木町ブルース」を吹いていると周りから「歌謡曲なんか吹いて」と言われた。クラシックやジャズより歌謡曲は低位に置かれていることに反発を覚えた。石田にとって歌謡曲は楽しい同時代の音楽だった。

 2013年にこのビッグバンドを発足させた。その動機になったのはユーチューブで見た80年代の映像だ。「ダン池田とニューブリード」の演奏をバックに松田が歌うテレビの歌謡番組だった。

 「演奏はプロのフルバンドで、歌うのは初々しい若い子の組み合わせ。若い時代に出合った歌謡曲が新鮮によみがえりました」

 ダン池田は歌謡曲全盛時代を支えたバンマスで、松田は1980年に「裸(はだ)足(し)の季節」で歌手デビューし、「ぶりっ子」という言葉が社会に広がった。バンド名「ダン石田とニューブリッコ」は池田と松田へのオマージュともいえる。

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 バンドは17人編成だ。石田は知人、友人などに参加の声をかけた。「歌謡曲ですか」。断れることもあったが、どうにかメンバーをそろえた。ただ、楽譜がない。ビッグバンドにとって楽譜は財産だ。当時の楽譜を入手できなかった。自分で音源を頼りに苦労して作成した。スタート時は十数曲、現在は約120曲の楽譜がある。曲目に合わせた若い歌い手も6人いる。

 福岡にはかつてのキャバレーがはやった時期に、多くのビッグバンドがあった。また、福岡は松田や酒井法子など多くのアイドルを輩出した聖地でもある。こうした音楽都市・福岡の流れも継承する形で活動している。

 「アイドル歌謡のライブのよさを伝えていきたい」

 アマチュアではあるが、アクロスでの2カ月に一度の定期公演を軸に演奏を続けている。 =敬称略 

 (田代俊一郎)

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