ふるさと納税 勧告を制度改革の契機に

西日本新聞 オピニオン面

 国にとって事実上の「敗訴」は想定外だっただろう。だが、国と地方の関係を「対等」と位置付ける地方分権の観点で見れば、まっとうな判断である。

 総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」が、石田真敏総務相に対し、大阪府泉佐野市をふるさと納税の新制度から除外した決定を再検討するよう勧告した。

 過度な返礼品で寄付を集める手法が制度を不当にゆがめており、再三の警告にも応じない自治体の姿勢は問題だ-として、総務省は6月から新制度を始めた。先の通常国会で地方税法を改正し、返礼品は「調達費が寄付額の30%以下の地場産品」などとする基準をつくった。

 係争委で焦点となったのは、改正地方税法に基づく総務相の告示で「昨年11月以降、制度の趣旨に反する方法で多額の寄付を集めていない」ことを基準の一つと定めたことだ。

 これによって泉佐野市や佐賀県みやき町など4市町は除外され、このうち泉佐野市が「当時は適法だった行為を理由として不利に扱うのは違法」として審査を申し出ていた。

 係争委は、豪華返礼品で多額の寄付を集めた泉佐野市の行為が「制度存続を危うくした」と批判しながらも、「新制度は過去の行為を罰するのが目的ではない」「改正地方税法が委任する範囲を超える恐れがある」として泉佐野市に軍配を上げた。

 法律は厳格に運用せよ、という当たり前の判断だ。注目したいのは、総務省の振る舞いが自治体運営に対する国の介入は最小限度にすべきだ-とする地方自治法に「抵触する恐れがある」と踏み込んだことである。

 国の意向に背く自治体を見せしめのように排除する強引な姿勢が厳しく指弾されたといえるのではないか。地方自治や地方分権を所管する総務省が、「自治の精神」や「分権の理念」を自らないがしろにしたとすれば、もっての外である。

 見返りを期待しない寄付なのに、返礼品まで受け取れる制度は本当に健全なのか。高額納税者ほど「お得感」が増す仕組みに問題はないか。深刻化する都市部の財源流出を放置していいのか。この際、国と地方が知恵を出し合って、いびつな制度の抜本改革に踏み切るべきだ。

 国地方係争処理委員会にも注文したい。地方分権一括法に基づいて2000年に設置されたが、沖縄県の基地問題など地方の訴えを「門前払い」にする事例が多く、国に勧告するのは今回が2度目である。

 国に遠慮することなく、まさに第三者の視点で、筋の通った国と地方の係争処理機能を発揮してもらいたい。

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