新体育館整備構想を撤回 三反園・鹿児島知事 争点化避けたい思惑か

西日本新聞

 鹿児島県の三反園訓知事は10日、鹿児島市のJR鹿児島中央駅西口での新たな体育館整備の方針を撤回した。構想発表から1年3カ月。方針見直しの背景には、来年夏の知事選での争点化を避けたとの見方があるのに加え、政策の実行力に疑問を唱える関係者もいる。(上野和重)

 築60年近い鹿児島県立総合体育館の建て替えは、同県政の長年の懸案。2011年に一度は基本構想が策定されたが、建設場所や機能を巡り方針が二転三転して頓挫。16年の知事交代後、振り出しに戻った。

 三反園知事は、大規模スポーツ施設の在り方を検討する有識者の委員会を設置。18年2月に「新たな体育館は多目的利用が可能なアリーナ的概念の施設が望ましい」との提言を受けた。だが、場所は決めずに議論したため委員からは「議論は生煮えで提言は不十分だった」との声も出ていた。

 三反園知事は提言を踏まえ、同年6月、JR鹿児島中央駅西口の県有地と隣接する日本郵便(JP)の土地を合わせた約1万6千平方メートルが「最適地」として、整備構想を打ち出した。

 周辺道路の交通混雑に懸念の声が出る中、県内の屋内スポーツの17競技団体は19年3月、西口での早期整備を求める要望書を提出。一方、県バス協会は同年6月、「路線バスの定時運行が一層難しくなり、住民や観光客の利便性が損なわれる」として反対の意見書を出すなど、県民の賛否は分かれていた。

 三反園知事は記者会見で、進展状況を聞かれるたびに「JPと土地の譲渡について協議中」と述べていた。ある県関係者は「JPとの協議は順調で、計画を進めるかどうかは知事の決断次第だった」と語り、方針撤回について「ここで引いた方が傷が浅いと考えたのだろう」と話す。県議の一人は「県議会で建設費の予算が通るか見通せていなかった。『議会に反対される』というダメージを負いたくなくて、知事選に影響しないよう早めに方針転換したのでは」と指摘。別の県議は「県民の理解が得られなかったと言うが、時間と金を浪費した責任を感じていない」と批判した。

 撤回を表明した県議会終了後に記者が三反園知事を囲んだが、「鹿児島市内の早期に建設できる場所を検討したい」などと述べるにとどまった。

 西口の再開発は鹿児島市のまちづくりにかかわる。同市の森博幸市長は「計画を撤回した経緯などについて早急に説明してほしい」と注文している。

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