「9・11」から18年 アフガン和平また遠く トランプ対話外交限界

西日本新聞 国際面 田中 伸幸

 2001年の米中枢同時テロから11日で18年。テロを受け、米軍が侵攻して始まったアフガニスタン戦争も米史上最長の戦争として、10月に開戦から18年を迎える。トランプ大統領は公約であるアフガンからの米軍撤退を目指し、反政府武装勢力タリバンと和平協議を進めてきたが、自爆テロで揺さぶりを掛けられるなど継続は風前のともしびだ。袋小路に入った対話外交の現状に、アフガンなど対テロ戦争に携わった元米兵らからは「戦略の欠如」を嘆く声が相次ぐ。 (ワシントン田中伸幸)

 「(協議は)私にとっては死んだ」。トランプ氏は9日(日本時間10日)、昨年10月以来続けてきたタリバンとの和平協議について記者団にそう何度も繰り返し、再開しない考えを示した。

 一方で同日夜の支持者集会では「私は世界の大統領ではない」と強調。トランプ氏はかねて米軍が「世界の警察官」の役割を担わされていると強い不満を抱いており、タリバンとの和平合意が実現せずとも米軍を一方的に撤収する可能性がある。

 公約実現を何より優先するトランプ氏には、退役軍人から厳しい批判が上がる。

 「米国がすべきことは、タリバンとの直接協議ではなく、アフガン政府とタリバンの対話の実現だ」と話すのは、米陸軍特殊部隊出身で、米中枢同時テロ後は国防総省で対テロなどの特殊作戦の顧問を務めたウェイド・イシモト氏(78)。「直接協議によってタリバンが将来、テロに関与しなくなると考えているとすれば、甘い」と手厳しい。

 対話外交を支持する意見もあるが、その目的や手法には疑問符が付く。04~05年にアフガンに駐留した元陸軍の女性(46)は、大統領が再選戦略として外交や軍事上の成果を挙げようとするのは珍しくないと述べた上で「トランプ氏は駐留経費の削減を撤収理由としているが、それはおかしい」と批判する。

 同時期にアフガンで従軍した男性(48)は「永久に駐留するわけにはいかないが、世界の安全保障政策上、中国やロシアの台頭を許さないためにも、米軍の海外展開を今、縮小すべきではない」と訴える。

 トランプ氏は、北朝鮮やイランの核問題でも対話による事態打開を模索するが、公約実現を急ぐ内情を見透かすかのように北朝鮮が短距離ミサイル発射を繰り返すなど翻弄(ほんろう)されている面は否めない。「推移を見守るしかない」。元陸軍の女性は深いため息をついた。

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