元組員に口座 銀行敬遠 「離脱5年は開設拒否」7割 九州22行アンケート

西日本新聞 一面

 金融機関が独自に定める暴力団排除条項で、暴力団を離脱後も5年間は組員とみなして普通預金口座の開設を断る「元暴5年条項」が広がっている。西日本新聞が九州7県の地方銀行やメガバンクなど22行にアンケートを行ったところ、全22行に暴排条項があり、15行は5年条項も設けていた。「犯罪に悪用される懸念がある」と必要性を訴える銀行が多い一方、7行は「生活に使う場合もある」などとして導入していない。

 福岡県警による特定危険指定暴力団工藤会(北九州市)への「壊滅作戦」開始から11日で5年。生活に利用されることが多い普通預金口座でも暴排が進む現状が浮かび上がった。

 アンケートでは、全国銀行協会の正会員のみずほ、三菱UFJ、三井住友のメガバンク3行と九州に本店を置く地銀18行、特例会員のゆうちょ銀行の計22行に対し、普通預金口座を巡る暴排条項の導入状況や内容、運用実態を文書で尋ねた。全行が8月下旬までに回答した。

 各行は、組員か元組員かどうかは新聞記事やインターネットなど公開の情報を収集して独自のデータベースを作成し、警察にも照会して判断していた。

 5年条項がある15行の多くは導入理由として「リスク排除」「反社会的勢力との関係遮断」などを挙げた。離脱から5年経過したかどうかは、データベースを活用するほか、警察への照会などをもとに「総合的に判断している」(九州中部の地銀)という。

 条項に基づき開設を拒否したり、5年経過後に開設を認めたりした事例も尋ねた。ある銀行は5年経過を確認しても「開設に応じたケースはない」と回答したが、理由は明らかにしなかった。開設した事例がある別の地銀は「犯罪に使われていないか、当該口座は毎日監視している」と、厳しい対応を明かした。

 全銀協は普通預金口座に限っては「生活口座に用いる場合もある」として5年条項の対象外としている。

 5年条項がない7行のうち2行は、全銀協に倣ったと回答。「5年の根拠があいまい。更生の観点から5年経過しなくてもいい」と柔軟な姿勢で対応する銀行がある一方で、「5年経過した客観的証拠がない。契約自由の原則に基づき、拒否している」と、離脱後の期間にかかわらず幅広く開設を断る銀行もあった。 (森亮輔、木村知寛)

 ◆元暴5年条項 暴力団を離脱しても5年間は「暴力団員等」として、組員とみなす規定。政府は2007年、犯罪対策閣僚会議の指針で、企業に暴力団排除条項を定めるよう求めた。福岡県は10年、全国初の暴力団排除条例を施行し「暴力団員等」は「暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年経過しない者」と定めた。多くの都道府県条例や企業の暴排条項も5年条項を盛り込んだ。全銀協は11年、融資や当座預金での取引について暴排条項の参考例で5年条項を盛り込んだが、普通預金口座は「生活口座に用いる場合もある」として対象外とした。

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