日産社長辞任 企業風土の刷新が必要だ

西日本新聞 オピニオン面

 日本経済の柱の一つ、自動車業界はいま「100年に1度」の変革期にある。メーカー各社が生き残りを懸けて連携し、自動運転や電動化といった技術開発にしのぎを削る。日産自動車にも内輪の問題にかまける余裕などない。これを機会に経営を刷新し、再出発を急ぐべきだ。

 日産の西川(さいかわ)広人社長兼最高経営責任者(CEO)が16日付で辞任することになった。副社長だった2013年、不当に上乗せされた株価連動報酬を受け取っていた責任を問われ、取締役会から辞任要請を突き付けられた。事実上の解任だ。混乱が長引けば会社の将来が危うい。そんな危機感が社内にも広がった証拠だろう。

 日産は、特別背任事件などで起訴された前会長のカルロス・ゴーン被告に続き、経営トップが任期半ばで交代するという異常事態に陥った。

 経営危機の日産に乗り込み君臨したゴーン被告は巨額の報酬を隠し、会社の資金を私的に流用したなどとして、会社を追われた。その不正を追及してきた張本人が西川氏である。その人が企業統治(ガバナンス)上の問題、特に金銭にまつわる醜聞で辞任に追い込まれるとは、まさに何をか言わんやだろう。

 日本を代表するグローバル企業である日産の、企業としての風土、体質に根深い問題があるのではないか-多くの真面目な社員には申し訳ないが、そう疑問を呈さざるを得ない。経営刷新はここを起点とすべきだ。

 日産によれば、ゴーン被告らの不正行為による会社の被害などの総額は350億円以上になる。一方、西川氏が不当に得た報酬は約4700万円で、返還するという。不正の認識や指示の有無、金額の多寡は異なるとはいえ、西川氏の責任は今後も厳しく追及されるべきだろう。

 西川氏はゴーン被告に引き立てられ11年から代表取締役を務める。ゴーン被告の一連の不正に全く気付かなかったとは考えにくい。今回の報酬問題がなくとも、経営責任を問われてしかるべき立場だった。

 実際、6月の株主総会では一般株主に加え一部の機関投資家からも、西川氏続投に異議が出た。傷ついたブランドイメージの回復を考えると、今回の社長交代でも遅すぎたと言える。

 それでなくとも日産には課題が山積している。北米などで販売が不振で経営再建の途上にあり、グループ全従業員の1割に当たる1万2500人を22年度までに削減する計画がある。生産子会社は九州にもある。

 企業連合を組むフランス大手ルノーとの関係の再構築も懸案だ。こちらは経営の刷新がなければ足元を見られかねない。

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