宇佐神宮放生会 世界に発信へ 完全復活目指し、宇佐市でシンポ

西日本新聞 大分・日田玖珠版

さまざまな意見や提案が出て盛り上がったパネルディスカッション 拡大

さまざまな意見や提案が出て盛り上がったパネルディスカッション

動画投稿サイト「ユーチューブ」を使って生中継された「宇佐神宮放生会シンポジウム」

 全国八幡神社の総本宮・宇佐神宮(宇佐市)の「放生会」が開始から1300年とされる2020年に完全復活を目指す大分、福岡両県の官民団体は7日、機運を盛り上げようと「宇佐神宮放生会シンポジウム」を宇佐文化会館(同市法鏡寺)で開いた。最終目標とする国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産登録を目指し、今年10月に団体名も変更する方針。官民一体で宇佐神宮放生会を世界に発信していく。 (吉川文敬)

 放生会は720年、大隅国(鹿児島県)と日向国(宮崎県)に居住していた隼人族の反乱、鎮圧によって失われた多くの命を弔うために始まったとされる神宮最古の神事。かつては8月の15日間に約50の祭礼があり、豊後国(大分県)に属する国東半島の仏教寺院群「六郷満山」も参加する豊前国(福岡県と大分県の一部)の総力を挙げた神仏習合の宗教祭礼だった。

 具体的には、田川郡(福岡県)で鋳造した銅鏡を宇佐神宮に奉納する宝鏡奏上▽上毛郡(福岡県)と下毛郡(大分県中津市)の人形遣い「傀儡子(くぐつ)」による人形劇の船上奉納▽隼人の反乱を模した相撲奉納-など数々の儀式があったとされる。1307年を最後に完全な形での放生会は途絶え、明治以後は仏教的要素を排除した仲秋祭として存続。10月の3日間、和間神社(宇佐市)へのみこし御神幸などが行われるのみとなり、他の多くの神事は旧豊前国各地の祭りとして続けられている。

 シンポでは、別府大の飯沼賢司学長が基調講演。飯沼学長は「生き物を放ち、功徳とする放生という仏教的思想と、武神として殺生を宿命づけられた八幡神という対立する概念の融合は、神仏習合という日本独自の宗教観成立の発端となった」と解説した。

 続いてあったパネルディスカッションでは、隼人町史談会(鹿児島県霧島市)の藤浪三千尋さん(71)が「隼人族供養の祭りを長年続けていただいていることに感謝したい。1300年の時を超えて、心の和解の契機にしたい」と発言。NPO法人築上町観光協会(福岡県築上町)の鱒渕和裕さん(72)は「宗教行事ではなく、地域交流史の象徴と捉え直すべきだ」と注文すれば、宇佐市観光ガイドの矢野英一さん(64)は「各地にある関連祭祀(さいし)をつなげたい」と前を向いた。

 一方、無形文化遺産登録という目標を明確化するため、広域官民団体「宇佐神宮放生会シンポジウム推進連絡会議」(会長・飯沼賢司別府大学長)は10月、「八幡文化を世界にアピールする会」に団体名を変更する方針。同会議事務局は「来年の放生会復活を成功させ、無形文化遺産へ機運を醸成していきたい」と意気込んでいる。

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動画サイトで生中継

 7日にあった宇佐神宮放生会シンポジウム事務局は、シンポの模様を動画投稿サイト「ユーチューブ」で生中継した。「放生会を卒論で取り上げたい」と話す鹿児島の大学生からの“苦情”がきっかけだった。

 その大学生は「聞きに行きたいけど、遠すぎて旅費もかかるし学生には無理」と窮状を訴えた。「全国の若い世代にこそ放生会を知ってもらいたい」と話す同事務局は無形文化遺産登録を見据え、ネットを駆使した情報発信も視野に入れる。

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