現代風の「天草人形」人気 「ひっぱりだこ」「めじろおし」…注文殺到

西日本新聞 熊本版

 天草市下浦町のお年寄りたち手作りの土人形が人気を呼んでいる。伝統工芸品「天草人形」の技術を生かし、現代風にデザイン。全国から縁起物を集めた無印良品(東京)の福袋「福缶」の中身に採用されたことがきっかけで、インターネットでも注文が殺到。地元の地域おこしグループ「下浦弁天会」の工房では、製作に追われている。

 天草人形は江戸時代中期、肥前唐津から来た浪人の広田和平が始めたとされる泥人形。(1)型抜きした粘土をつなぎ合わせて成型(2)乾燥させて素焼きにする(3)研磨後に胡粉(ごふん)や泥絵の具で彩色-という工程を経て完成する。神仏像や福助などの縁起物、ひな人形なども作られた。かつては山姥(やまんば)が子を抱いた人形をマリア像に見立て、潜伏キリシタンが祈りをささげたとされる。

 天草市出身の若杉浩一・武蔵野美術大教授(60)や東京都在住のデザイナー下妻賢司さん(37)らが、天草人形の技術を後世に残そうと、2017年3月に試作品を製作。下浦弁天会の宗像和久事務局長(67)に工房を立ち上げて製作・販売するよう持ちかけた。

 同会によると、製作しているのは、3羽のメジロが向かい合った「めじろおし」(高さ約4センチ)▽タコを上下に引っ張ったようなデザインの「ひっぱりだこ」(高さ約9センチ)▽地元特産の下浦石の石切丁場に祭ってある神様をモチーフにした「弁天さま」(高さ9センチ)-の3種類。

 会員は石工ら32人だが、平日に作業できるのは定年退職した高齢者8人のみ。陶芸の経験者は1人もいなかったが、下妻さんらのアドバイスを受けて試作を重ね、研磨や色付けの腕が次第に向上。昨年、市内であった見本市に出品したところ、来場者から「癒やされる」など評判も上々で、注文が舞い込むようになった。今年の福缶に入った「めじろおし」が好評で、来年は「ひっぱりだこ」が採用され、千個以上の出荷を予定しているという。

 5月に空き店舗を改装し、事務所兼作業場を確保。平日に数人で作業している。1度に50体程度しか焼くことができないため、注文に応じきれないのが最近の悩みだが、副会長を務める宗像さんの妻桂子さん(65)は「定年後のお年寄りが生きがいを感じて集う“じーばー産業”です」と笑顔。若杉教授は「高齢化で後継者も危ぶまれている中で、新たな人形としてよみがえり、発展してくれれば」と期待している。

 ネット販売は「めじろおし」が1体2千円、「ひっぱりだこ」「弁天さま」はともに2500円(全て税別)。 (金子寛昭)

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