全盲の築上町議・江本さん初の一般質問 弱者への対応問う

西日本新聞 北九州版

築上町議会初の視覚障害者議員として一般質問に臨んだ江本さん 拡大

築上町議会初の視覚障害者議員として一般質問に臨んだ江本さん

 築上町議会(定数14)で初めての視覚障害者議員が9月定例会に臨んでいる。7月下旬の町議選で初当選した全盲の江本守さん(63)。「弱い立場の人に寄り添った政治をする」-。その思いを胸に、11日の一般質問に初めて登壇した。

 最前列の議席から質問席まで約2メートル。案内する議会事務局の職員の腕に手を添えて歩き、席に着いた。

 質問したのは、町施設での障害者への対応などについて。病気やけがで人工肛門などを付けた人が「病気は治ったがどこにも行けない」などと語るのを耳にしたことから、対応できる設備の整備状況などをただした。また、通学路に街灯の無い場所について「犯罪抑止などで防犯カメラが活躍している。設置すべきでは」と提案した。

 江本さんは町出身。網膜色素変性症という疾患で生まれつき弱視だった。針、きゅう、あん摩マッサージ指圧師の国家資格を取得し、1979年に町内に鍼灸(しんきゅう)院を開業した。訪れる人たちと向き合う傍ら、89年に町視覚障害者福祉会を結成し、役員として、視覚障害者同士の交流などに尽力してきた。40歳の頃に完全に視力を失ったが、姿勢は変わらなかった。

 昨夏、福祉会関係者らの強い勧めもあって町議選出馬を決断。「私だからこそ気付くこと、できることがあるのではないか」。福祉の充実などを訴え、最下位ながら414票で初当選した。

 議会事務局によると、廊下などに点字ブロックはなく、議会開会中の移動は職員が付き添う。議場に通じる廊下のロッカーやごみ箱も撤去。トイレも和式から洋式へ改修した。議会基本条例など議員としての心構えの資料は、議長の判断でCDへ音声化したものを提供した。

 事務局は議案などの点字化も検討したが、江本さん自身が費用が掛かることや特別扱いしないでほしいという希望を伝え、知人らに読んでもらうなどしているという。事務局は「議員活動に不自由がないように支援に努めたい」と話す。

 初の一般質問を終えた江本さん。「緊張したが、言いたいことは言えたと思う」と振り返りつつ、こう誓う。「私は社会的弱者。周囲の人々の支えがあってここにいる。子どもや高齢者、生活困窮者…。障害者だけではなく、いろんな弱い立場の人がいる。そんな人たちに寄り添えるよう、精いっぱい職を全うしたい」。議員活動は始まったばかりだ。 (浜口妙華)

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