鉱業権売却 地元は困惑 飯塚市提案「法改正で所有は困難」 市議会委員会で12日採決

西日本新聞 筑豊版 田中 早紀

 飯塚市は同市山倉で所有する鉱業権を民間企業に売却する議案を、開会中の市議会定例会に提案している。同市は住民説明会を開き、「法律が変わり所有が困難」と理解を求めるが、関係する山倉、入水地区の自治会は石灰石の採掘に伴う振動や粉じんの発生、地元のシンボル「関の山」の外観が変わる懸念があるなどとして、売却に反対する請願書を市議会に提出した。議案は12日の市議会経済建設委員会で採決される。

 鉱業権とは、鉱業法に基づき、国の許可を得て、金や銀、石油などの鉱物を試掘または採掘する権利で、同市は石灰石の採掘権を保有する。同市によると、合併前の旧庄内町が1960年代、山倉・綱分両地区の計14万6700平方メートル分の鉱業権を取得したが、資金難などから、事業着手を延期し続けたという。

 2012年1月、国が資源を適正に管理し、適切な主体による合理的な開発を行うことを柱にした改正鉱業法が施行。「経済事情を理由とした延期申請が認められなくなった」(同市)ため、国と協議し「適切で、地元住民の合意が得られる事業者が現れれば、鉱業権の移転を認める」との条件で、2年間の延期申請を重ねた。

 同市は今年5月、隣接する田川市内の土地で操業していた関の山鉱山(同市)から鉱業権を買い取る申請を受け、「調査の上、住民の理解を得られる可能性がある」と売却先に決めた。同社からはこれまでも要望があっていたという。対象は、山倉地区の3万7千平方メートルでの鉱業権と、その大部分の市有地で、処分価格は計6千万円。

 飯塚市は今月5日、山倉自治会に対し、説明会を開き、関の山の景観については「田川市側から採掘を始め、影響に配慮して進める」と強調。「売却しなければ、市は鉱業権を放棄することになり、今回の部分だけでなく山頂付近も開発される可能性がある」と説明した。参加者からは「地元同意の前になぜ上程したのか」「子どもたちのためにも環境を守ってほしい」などの意見が出た。

 委員会採決を前に、同市は「住民側と交渉する中で出た意見を検討し、一つ一つに回答していく中で議論が深まった。それをもって一定の理解は得られていると認識している」と主張し、同自治会の浅田英二会長は「地元は合意していない。関の山を守るために、否決を勝ち取らないといけない」と話している。 (田中早紀)

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