安倍改造内閣 問われる最長政権の真価

西日本新聞 オピニオン面

 2年後に迫る自民党総裁の任期満了を見据え、長期政権の総仕上げを意識した人事だろう。「安定と挑戦の強力な布陣」との触れ込みだが、要はこの陣容でどんな政策を実現するかだ。

 安倍晋三首相(自民党総裁)はきのう、内閣改造と自民党役員人事を行い、第4次安倍再改造内閣が発足した。

 麻生太郎副総理兼財務相と菅義偉官房長官、二階俊博幹事長と岸田文雄政調会長という内閣と党の要職を留任させたのは「安定」の象徴だろう。

 閣僚19人のうち17人を交代させたのは「挑戦」の意気込みかもしれないが、横滑りや再入閣で4人を数える。初入閣は13人に及ぶが、官房副長官や首相補佐官の経験者が目立つ。大規模な割には気心の知れた首相側近で固めた人事ともいえよう。

 一番の驚きは小泉進次郎氏の環境相抜てきだ。国民的人気は高いが、昨年の総裁選では首相の対立候補だった石破茂元幹事長に投票していた。

 小泉氏の初入閣には、改造人事の「清新さ」をアピールする一方、「ポスト安倍」候補を競わせる狙いもうかがえる。首相の「総裁4選論」がくすぶる中で、菅官房長官、岸田政調会長、加藤勝信厚生労働相らとともに首相候補の後継レースが始まったとみることも可能だ。

 安倍首相の通算在任日数は先月、戦後最長だった佐藤栄作元首相を超えた。再来月には歴代1位の桂太郎元首相を抜き「憲政史上最長」となる見込みだ。

 「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」で「戦後日本外交の総決算」を掲げる首相だが、日韓関係は戦後最悪の状態である。北方領土問題の打開を目指すロシアとの交渉も行き詰まり気味だ。拉致問題の解決などに向け「前提条件なしに向き合う」と首脳会談を呼び掛ける日朝関係も進展の兆しは見えない。

 歴史的な長期政権で成し遂げた業績は何か-と問われ、即答に窮するようでは困る。もし、首相がそう考えて、憲法改正へ突き進もうとするのであれば、短慮と指摘せざるを得ない。

 首相は早速、きのうの党役員会で「わが党の長年の悲願である憲法改正を党一丸となって力強く進めていきたい」と決意を語った。新体制が「改憲シフト」だと宣言したに等しい。

 憲法論議を深めること自体に異存はないが、行政府の長が突出して改憲の旗を振るのは危うい。改憲は決して国民が望む政治の最優先課題でもない。

 国民が求めるのは、まず暮らしの安心を支える社会保障であり、経済の再生や地方の活性化である。長期政権で蓄えた政治の力をどう使うか。「最長政権」の真価が鋭く問われよう。

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