禁教下に生きた潜伏キリシタン描く舞台 「五島崩れ」12月、博多座で 森禮子さんの小説を舞台化

西日本新聞 吉田 昭一郎

 キリシタン禁教・弾圧下、家族愛と自身の思いを貫こうと懸命に生きた長崎県・五島列島の潜伏キリシタン女性の生涯を描いた演劇「五島崩れ―椿の島のアヴェ・マリア」が12月13日、福岡市博多区の博多座で上演される。同市出身の芥川賞作家、森禮子さん(1928~2014)の同名小説を舞台化する。

 「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界遺産登録を記念し、市民有志が「森禮子さんの小説『五島崩れ』を舞台化する会」(会長=G・W・バークレー西南学院理事長・院長)を結成し、ふくおか県民文化祭福岡県実行委員会、福岡県などと主催。長崎県五島市も共催する。

 物語は、幕末から明治初年にかけて五島列島で数多くのキリシタンたちが拷問に遭い、処刑された「五島崩れ」の史実に基づく。主人公のミツは、同列島・久賀島で生まれ育った潜伏キリシタンの少女。運命の巡り合わせから取締側の福江島の武家に嫁ぐが、家族ら久賀島の人々が狭い牢屋(ろうや)に押し込められ拷問を受けていると知り、帰郷する。
 ミツ役は、福岡市を拠点にバレエをはじめ幅広くダンスに取り組む春日遥香さん。ミツの母親役を玄海椿さんが演じる。舞台で心象を表すコンテンポラリーダンスも披露する春日さんは「弾圧下、ミツは自分の気持ちに素直に生きて、家族愛に従って行動する。すてきなミツの生き方を全身で表現したい」と語る。
 出演者約50人は9日、福岡市中央区の中央市民センターで初顔合わせ、台本読みに取り組んだ。
 生月島(長崎県平戸市)の人たちによるかくれキリシタンの祈り「唄オラショ」の実演を織り込み、父親が久賀島出身のシンガー・ソングライター、五輪真弓さんが歌や語りで協力する予定。西南学院音楽主事の安積道也さん指揮で、福岡市の混声合唱団「コーロ・ピエーノ」がグレゴリオ聖歌を合唱し舞台を盛り上げる。
 森さんは小説のあとがきで「信仰と人間性、個人と共同体、権力と自由など、現代においても人間が生きていく上での重大な問題をそのまま抱合しています」と書いている。
 舞台化する会・実行委員長の横尾和彦さんは「民族、宗教、貧富の格差などさまざまなかたちで人々が分断され、他者を思いやる心を見失いつつある現代社会とも重なる物語。時流に流されない生き方の尊さが伝わる。舞台を通じ、社会のありようや将来を考えるきっかけにしていただければ」と話している。
 公演は昼夜2回。全席指定。前売りS席6500円、A席5500円、B席3500円(当日いずれも500円増し)。ローソンチケットで販売中。問い合わせは舞台化する会=092(752)8880。(吉田昭一郎)
 

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