台風15号大停電 備えに油断はなかったか

西日本新聞 オピニオン面

 関東に上陸した台風15号による被害は、家屋の損壊や交通網の寸断だけでは済まなかった。大規模な停電が発生し、ライフラインがまひした。多数の住民が今も不自由な生活を強いられ、救援を求めている。一刻も早く復旧を進めてほしい。

 同時に、日頃の「備え」や今回の15号への対応に油断はなかったのか、十分に検証して、今後の防災や減災の取り組みに生かすべきだ。

 千葉県を中心に最大50万戸以上に及んだ停電は復旧が思うように進まず、12日夜現在でなお20万戸以上で電気がストップしている。全面復旧は13日以降の見通しで、東日本大震災後では異例の規模の停電だという。

 15号は9日早朝に千葉市付近へ上陸した。当時の中心気圧は960ヘクトパスカル、最大風速は40メートルで、関東に上陸した台風としては最大規模の勢力だった。

 首都圏ではJRや私鉄が計画運休を実施し、当初はそれによる混乱が大きく報じられた。停電に関しては一時的なもので復旧は早いとみられていた。

 ところが千葉県の一部で最大瞬間風速が50メートル超に達した。強風により高圧線の鉄塔2基や多数の電柱が倒れ、配電施設なども各地で損壊した。そのため停電は千葉市周辺や房総半島の全域など広範囲に及んだ。

 停電により一時は12万戸が断水した。住民はエアコンが使えない、トイレの水が流せない、風呂に入れない、携帯電話の充電ができず情報が得られない、といった苦境に追い込まれた。

 真夏日が続いたことで、熱中症とみられる死者も出た。行政防災無線がダウンしたり、コンビニや給油スタンドの営業中止が続いたり-と影響は波状的に広がっている。

 東京電力は他の電力会社からも応援を得て復旧作業を進めている。当初は11日中の停電解消を目指すとしていたが、同日になって撤回し、復旧は遅れる見通しを示した。送電線の被害が予想以上に大きく、雷雨が続いたことも影響しているようだ。

 しかし、今回と同規模の台風は他の地域では過去に何度も上陸、接近している。「想定外」で済ますわけにはいかないだろう。送電設備の保守・点検をはじめ、停電が長引いた場合の電源車の確保や、自治体との連携など、検証すべき点は多岐にわたると指摘したい。

 住民からは「電気がなければ暮らせない現実を思い知らされた」といった声が聞こえる。裏返せば、今回のような長期停電が生じた際、私たち自身が衣食住をいかに確保するのか、自衛のあり方が問われよう。

 台風シーズンはまだ続く。九州も決して油断はできない。

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