若戸渡船に初の女性船長 「安心の操船目指す」

西日本新聞 北九州版 米村 勇飛

若戸渡船で初の女性船長になった酒向春菜さん 拡大

若戸渡船で初の女性船長になった酒向春菜さん

若戸渡船は若戸大橋(右上)と並んで市民の足として親しまれている

 若松区と戸畑区を結ぶ「若戸渡船」で、横浜市出身の酒向(さこう)春菜さん(22)=戸畑区=が初の女性船長として活躍している。幼い頃からの「船乗りになる」という夢をかなえた。江戸時代以来の歴史がある若戸渡船で、利用者の住民らとの交流を励みに安全運航で“市民の足”を支えている。 (米村勇飛)

 酒向さんは横浜市で生まれ育ち、小学生の時には福岡市で暮らしたこともある。横浜市の自宅の近くからは、海を行き交うさまざまな船が見えた。「いつか船乗りになりたい」。港町で夢の原風景を育んだ。

 高校卒業後は航海士や機関士を育成する国立清水海上技術短期大学校(静岡市清水区)に進学。全国から集まった学生と寮生活を送りながら、航海に必要な法知識を学び、3カ月単位の航海実習をして航海士と機関士の資格を取得した。

 2017年4月に若戸渡船の運航業務を北九州市から委託されている「関門汽船」(門司区)に就職し、関門地区で関門連絡船などに乗船。昨年4月から若戸渡船で初の女性船長として勤務を始めた。7人いる船長の中で唯一の女性。酒向さんは「気負わずに自然体で仕事に取り組みたい」と話す。

 平日は1日の運航本数の約半分に当たる70便ほどに2人一組で乗船し、操舵(そうだ)や船の係留などを行う。ラッシュ時は1時間で若戸両岸を5往復し、合間に弁当をかき込む。早出の勤務の時は午前4時起床のハードな勤務だ。それでも利用者から掛けられる「ありがとう」の言葉で頑張れる。利用者に顔を覚えてもらい、買い物中に偶然会った人から、あいさつされることもあるという。

 酒向さんによると、若松区と戸畑区を隔てる洞海湾は一見穏やかに見えるが、潮流は激しいという。「海の状況に合わせて運航する必要がある。利用者がより安心して乗れる操船を目指していきたい」。夢をかなえた若者がかじを切る「ローカル船」は、今日も若戸の日常を乗せて走る。

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