「農漁共存」望みつなぐ 諫干訴訟差し戻し 漁業者「再生の道筋を」

西日本新聞 社会面 一瀬 圭司 吉田 修平 森井 徹

記者会見で最高裁判決の意義について説明する漁業者側の馬奈木昭雄弁護団長=13日午後4時すぎ、東京都内 拡大

記者会見で最高裁判決の意義について説明する漁業者側の馬奈木昭雄弁護団長=13日午後4時すぎ、東京都内

 国営諫早湾干拓事業を巡る13日の最高裁判決を受け、漁業者たちは潮受け堤防排水門の「開門」にいちるの望みをつないだ。2010年に福岡高裁による国への「開門命令」が確定したものの、その後は逆に「非開門」を認める判決が相次いで確定。今回の判決で開門命令が「無力化」されれば、漁業者側は窮地に立たされる可能性があった。安堵(あんど)の声が広がる一方、続く闘いに決意を新たにした。

 「ヨシッ」。午後3時、最高裁第2小法廷。判決が言い渡されると、漁業者たちは胸の前で何度も拳を握った。正門前で「農漁共存の和解を!」と書かれた幕を掲げたタイラギ漁師、平方宣清さん(66)=佐賀県太良町=は「判決は私たちに希望を与えてくれた」と、涙を浮かべた。

 6月には同じ裁判長が関連する訴訟で「非開門」の判決を確定させたばかり。「負けを覚悟で来た」と明かす漁業者もいた。平方さんは「気持ちが何度も追い込まれたが、開門に向けて一筋の光明をもらった」と振り返った。

 最高裁近くで記者会見を開いた馬奈木昭雄弁護団長は「良識ある判断に安堵した」と判決を評価した上で「開門しなければ物事は解決しない。もう一度、新たな闘いが必要になる」と述べた。開門の是非を問う訴訟が乱立している状況には「国が(非開門を求める)農業者と漁業者が対立している構図をつくったが、それは間違いだ」と訴え、開門による農業被害の防止策を講じた上での和解を目指す考えを改めて示した。

 「宝の海」が戻る道筋はまだ見えないまま。長崎県島原市で刺し網漁を営む中田猶喜さん(69)は「判決はうれしかったが、有明海の再生のために何ができるか方向性を示してほしい」と注文を付けた。 (一瀬圭司、森井徹、吉田修平)

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