自宅マンションのベランダから夜空を見上げるのが好きだ…

西日本新聞 オピニオン面

 自宅マンションのベランダから夜空を見上げるのが好きだ。特に丸々と肥えた月がいい。地上のあらゆる人や生き物に等しく降り注ぐ淡い光が、疲れた頭と心を癒やしてくれる

▼昨夜は「中秋の名月」だった。旧暦8月15日の夜の月で、芋を供えた風習から「芋名月」の名も。お住まいの地域では芋の輪切りのような月を拝めただろうか。暑さが去って作物が実り始めるこの時季は古来、観月の好期。日本だけでなく東アジアの人々は、月下に宴を張り、詩歌を詠じ、月光をめでてきた

▼中でも韓国で旧暦8月15日は「秋夕(チュソク)」と呼ばれ、旧正月と並ぶ大切な日。毎年、前後1日ずつが祝日となり、人々は故郷を目指す。交通混雑がすごいらしいが、毎秋、名月に照らされた元気な顔を親きょうだいに見せるのは麗しい風習ではないか

▼そんな韓国と日本の仲が険悪化している。その影響で韓国人旅行客が急減し、九州の観光地からは悲鳴が。秋夕の連休も韓国客の予約は低調という。お月様の顔も曇りそうな事態である

▼ところで、双方の引力により月は地球を周回しているが、年約3センチずつ離れていっていることはご存じか。月の引力が地球に引き起こす潮の満ち引きの影響とか

▼どちらが地球でも構わないが、日本と韓国は地球と月に似ている。互いに離れようとしつつも常に引き合っている。いつの日か円満な関係が戻ることを、丸々と肥えた名月に願った。

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