【DCの街角から】リベラル派の“塩対応”

西日本新聞 夕刊 田中 伸幸

「トランプストロー」の購入を通じてトランプ氏支持を呼び掛ける陣営のホームページ 拡大

「トランプストロー」の購入を通じてトランプ氏支持を呼び掛ける陣営のホームページ

 「返事が来ないかもしれない」との予感は的中した。

 先週、ワシントンで「トランプ大統領の再選阻止」を目指すリベラル派の若者の集まりがあり、そこで野党民主党のある有力な大統領候補を支援するグループと知り合った。翌日には街頭活動を始めるというので取材を申し入れた途端、責任者の女性の顔がさっとこわばった。

 「後で連絡する」とだけ答え、会話は途絶。別の男性には「僕は取材は受けない」と拒まれた。警戒されているのは明らかだった。責任者の女性からはいまだ電話もメールも来ない。

 リベラル派を志向する人に取材しようとして、このように冷ややかな対応をされることが、なぜか時々ある。応じてくれる人がいないわけではないが、今回のように取材依頼が無視されることは私の経験上、保守派よりリベラル派の方が多い。

 「勝手な思い込みだ」と叱られそうだが、知人の米国人記者に聞いても、偶然かどうか同じ心象を抱いていた。民主党は大統領候補が乱立し、誰が党内の争いを勝ち抜くか分からない。だからこそ支持者を増やすため、もっとオープンな対応をすればいいのに、と思うのだが-。

    ☆    ☆

 一方、再選を目指すトランプ氏とその陣営の情報発信はまめだ。本人のツイッターだけでなく、支持者集会への参加や献金を求める陣営からの一斉メールが毎日のように届く。選挙までまだ1年以上あるのにだ。

 今週のメールでは、飲食店で最近、紙製ストローの使用が増えていることを受けて、民主党の候補たちが環境保護の観点から従来のプラスチック製を全廃しようとしていると非難し、再利用可能なプラスチック製「トランプ公認ストロー」の購入を呼び掛けた。献金集め目的のグッズ販売にすぎないのだが、民主党批判を交えながら、支持者の関心を引き付けようとする芸の細かさには感心させられる。

 トランプ陣営にもあらはある。6月に取材した支持者集会では時折雨が降る中、参加者は場外で何時間も待たされ、いつ入場できるか案内すらなく、中には怒って帰る人もいた。

 とはいえ、冒頭に紹介した民主党候補の支援者グループのようなリベラル派のつれない“塩対応”はやはり理解に苦しむ。グループから返事がないので、同じ候補を支持する別の男性に「匿名でよいから」と取材を申し込んでみたが、断られた。

 「日本人の記者に話しても票にならない」という判断かもしれないが、彼らは「急進的な政策への批判を恐れてか、注目を集めるような活動にはまだ消極的」「内向き」とも指摘される。そんな姿勢でトランプ氏を上回る支持の拡大ができるとは、私には思えない。 (田中伸幸)

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