「復興の音色」響かせたい 被災のライブハウス応援続々 佐賀市

西日本新聞 佐賀版 穴井 友梨

音響機材や楽器のメンテナンスなどの復旧作業が続く佐賀市の「RAG―G」 拡大

音響機材や楽器のメンテナンスなどの復旧作業が続く佐賀市の「RAG―G」

 記録的な大雨で、県内各地が浸水するなどの被害を受けてから2週間以上が過ぎた。店舗や事業所が並ぶ佐賀市中心市街地も、床上、床下浸水で甚大な被害を受けた。中にはまだ営業を再開できない店もあり、「早く再開してまたお客さんを迎えたい」と復旧を急いでいる。

 市によると、今回の大雨による店舗や事業所の床上、床下浸水被害は13日現在で計56件。中心部の松原や愛敬町などでは営業を再開した店がある一方、「水害によりしばらく休みます」「復旧のめどがつきません」などの張り紙が貼られたままの店も目立つ。

 「『これはつぶれる』と思った」。プロやアマチュアのミュージシャンが定期的にライブを行う同市松原3丁目のライブハウス「RAG-G」。運営する吉田由美子さん(61)は8月28日朝、近くの自宅から駆け付けて店内を見た印象を振り返った。

 2001年のオープン以来、大雨による浸水被害に何度か遭った。だが今回は様子が違った。「これまでは10~30センチの浸水で済んでいたのに、今回は倍近い60センチほども水がたまった」

 室内にはライブで使うアンプやスピーカーなど音響機材が並び、水気は致命傷。重い機材は高い場所への移動も難しく、「防水対策をしようと思ってできるものではない」。室内はステージ上まで水に漬かり、音響機材の多くが破損。9月までに予定していたライブ6本が中止となった。隣接するアマチュア用の練習スタジオも同様に水没し、ともに営業できなくなった。

 被害の甚大さに閉店も頭をよぎった。だが、店の様子をツイッターなどで紹介し、ボランティアでの片付けの手伝いを呼び掛けると、音楽関係者が続々と集まった。「来てくれた人の応援の声を聞くと、辞められないと実感した」と吉田さん。「復活を待っている人がいる。過酷な道のりだが、このままなくすことはできない」と決意を語る。

 資金繰りは厳しいが、募金などを活用し、ライブハウスは10月の営業再開を目指す。一方で近くのビルへの移転準備も進めている。「18年間親しんだ場所への愛着はあるが、ここでは今後も水害に遭う。新しい場所で再出発し、ライブを楽しみにしてくれている人に一番いい形で音楽を届けたい」 (穴井友梨)

佐賀県の天気予報

PR

PR

注目のテーマ