廃材に命 夫婦で専門店 有田焼土台や博多曲物端材 福岡で生活彩る品販売

西日本新聞 社会面 郷 達也

新店舗の開店準備中の久保哲也さん、睦さん夫妻 拡大

新店舗の開店準備中の久保哲也さん、睦さん夫妻

陶磁器を焼く際に土台として使う「ハマ」。こうした見慣れない道具がものづくりの現場には多くあるという

 佐賀県の有田焼や伊万里焼、博多の工芸品で使われる作業道具、工場などで廃棄される木材をインテリア用品などとして販売する専門店が今秋、福岡市西区にオープンする。店を手掛けるのは、ともにデザイナーの久保哲也さん(39)と睦さん(39)夫妻。「廃材が伝統工芸や産地を知るツール(手だて)になる」。ものづくりの新たな楽しみ方を提案する。

 哲也さんは東京の建築装飾・家具メーカーで商品デザインや設計を担当し、中国・上海勤務後の35歳で退職。独立し、福岡市でデザイン事務所を立ち上げた。

 廃材活用はもともと、デザイナーだった睦さんの父親が福岡県大川市の家具メーカーなどと取り組んでいたことから関心はあった。ただ、加工して新商品を作るスタイルだったため、手間が掛かっていた。

 哲也さんは本業の傍ら、「廃材をそのままの形で生活の一部などに活用する」と自分流を確立。木材工場や家具、陶磁器メーカーを訪ね歩き、個性的な“素材”を集めている。業者側も廃棄物として捨てていた物を逆に買い取ってくれるという夫婦に賛同。宝物探しのように使われなくなった作業道具を吟味する2人のビジネスを支える。

 2年前からは、福岡市の商業施設「イムズ」の一角で廃材商品を販売。若い世代などが部屋のインテリアなどとして購入している。11月に移転オープンを目指す店の屋号は、「素材」を意味するマテリアルを入れた「土曜日のマテリアルマーケット」。

 有田などの窯元から仕入れた作業道具の「ボシ」は、耐火材を使用した円形状で、重ねた皿を包み込んで焼くときに使う。小皿のような「ハマ」は焼成時に陶磁器がゆがまないようにする土台だ。「器が焼き上がると同時にその役割を終える。私たちの知らないところで生活を支えてきた道具」と睦さん。博多の伝統工芸「博多曲物(まげもの)」の職人が目利きした樹齢数百年の貴重なスギ板の端材は、料理皿に最適だ。

 九州産ヒノキの端材は、防虫や防臭に効果があるという。木材加工時にミリ単位の誤差が出たため商品化できなかったヒノキの棒などもある。商品は数百円から手に入る。店には、購入した素材をいくつか組み合わせるなどその場で加工できるスペースも設ける計画だ。「何に使おうかと空想を広げるのも廃材や古い作業道具の魅力。新たな価値を生み出すさまざまな素材を通して、産地の魅力を伝えていきたい」

 店のホームページは、https://www.material-market.com/ (郷達也)

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