【ひと】東京五輪参加国・地域を表現した着物をつくる 高倉慶応(たかくら・よしまさ)さん

西日本新聞 総合面 曽山 茂志

高倉慶応さん 拡大

高倉慶応さん

 パピルスの草原に舞う鳥。鮮やかな水色の生地に古代文字とピラミッド-。日本の職人が考えたエジプトをイメージしたデザインの着物を目の当たりにしたシシ大統領は「素晴らしい。わが国の国民にぜひ見せたい」と興奮を隠さなかった。8月末、横浜市で開催されたアフリカ開発会議(TICAD)での一幕だ。

 2020年東京五輪・パラリンピックなどに出場が見込まれる213カ国・地域のすべてを着物で表現する「キモノプロジェクト」をけん引。ゴールまで1年を切り、8割近い165着が完成。目標達成の手応えを感じている。

 福岡県久留米市で80年以上続く呉服店「蝶屋」の3代目。40歳で経営を引き継ぎ、着物産業の斜陽を肌で感じていたところ、14年春、テレビで1964年東京五輪の表彰式に参加する着物姿の日本人女性たちを見て、ひらめいた。「世界の着物を作れば、日本の文化を発信できるだけでなく、相手も日本を好きになってくれるはずだ」

 地方発の壮大な夢に対し、当初は冷ややかな声もあった。とにかく実績を示そうと、「見切り発車」で南アフリカやブラジルなど6カ国の着物を制作。各地の工房や職人に協力を呼び掛け、1着200万円の費用は企業や個人からの出資や寄付で賄う仕組みで、一歩ずつ前に進めた。

 昨年4月に100カ国の着物を披露したころから、賛同の輪が一気に広がった。ゴールは見えたが、資金集めは続く。東京五輪の舞台で参加国の着物姿の女性が並ぶ姿を夢見て、最後の一着が完成するまで走り抜ける。51歳。 (曽山茂志、写真は岡部拓也)

福岡県の天気予報

PR

PR

注目のテーマ