健康寿命 3年延伸の実現のために

西日本新聞 オピニオン面

 きょうは「敬老の日」。その源流は、兵庫県野間谷村(現・多可町)で1947年に開かれた「敬老会」だとされる。このとき村が長寿を祝ったのは55歳以上である。平均寿命が50歳代前半という時代だった。

 70年余りが過ぎ、2018年の平均寿命は女性が87・32歳、男性が81・25歳に伸び、ともに過去最高を更新した。世界でも女性は2位、男性は3位という有数の長寿国となった。

 今や高齢者とされる65歳を過ぎても、働き続ける人は珍しくない。ボランティアに汗を流す人も多い。人生の長い秋をどう充実させるのか。「人生100年時代」の大きな課題だ。

 可能な限り元気に、長生きしたい。誰もが考える理想に違いない。介護を受けたり、寝たきりになったりもせずに生活できる「健康寿命」は、16年で男性が72・14歳、女性が74・79歳だった。九州7県を見渡せば、女性は全国平均の水準かそれ以上だが、男性は下回る県が多い。気になる傾向である。

 健康寿命について、厚生労働省の有識者研究会が今春、40年までに16年比で3年以上延伸するという目標を打ち出した。研究会自体も「チャレンジング(挑戦的)」と認める高い目標設定だが、健康寿命が延びれば、医療費や介護費の抑制効果も期待される。なにより、高齢者の「生活の質」が向上する。

 では、いかに実現するか。健康寿命は運動量や睡眠時間、生活習慣、地域との関わり方なども影響するという。厚労省を中心に研究調査を進め、その成果を、市町村の施策に反映させることが肝要だ。ぜひ3年以上延伸という目標を達成したい。

 私たち市民も当然のことではあるが、日頃から健康に心掛けたい。定期的な健康診断を怠らず、楽しみながら無理がない範囲で体力の維持・向上に努めよう。山登りやランニングは手頃な手段だが、むちゃは禁物だ。

 自分の体力への過信も気を付けたい。近年、シニア層で登山がブームだが、警察庁によると18年の山岳遭難の半分は60歳以上で、死者・行方不明者は実に7割という。低山といえども油断はできないと心したい。

 もちろん加齢に伴い、体力の低下は避けられない。健康に配慮して暮らしても、認知症になる人もいれば、病や事故で寝たきりになる人もいるだろう。どんな老後を迎えようとも、安心して暮らせるよう、社会保障の再構築を急ぐ必要もある。

 野間谷村が敬老会を企画した当時の村長は、長い間地元に貢献してきたお年寄りを敬い、その経験や知恵を村づくりに生かそう、と考えたという。そうした志も受け継いでいきたい。

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