軽減税率、悩む現場 九州各社「厳密対応どこまで」

西日本新聞 一面 仲山 美葵

消費税率引き上げ後も店内飲食の税込み価格を据え置く場合、増税分は企業負担になる=16日、福岡市・天神の「天丼てんや」天神店 拡大

消費税率引き上げ後も店内飲食の税込み価格を据え置く場合、増税分は企業負担になる=16日、福岡市・天神の「天丼てんや」天神店

 10月1日の消費税率10%への引き上げまで半月を切り、地場の小売店や外食チェーンでもレジ対応や店内掲示などの準備が大詰めに入っている。今回の増税は、酒類を除く飲食料品の税率8%を据え置く「軽減税率制度」が適用される一方、店内で食べる場合は「外食」とみなされ、10%が適用される。各社では店内の休憩スペースで客が飲食しないように工夫する動きもあるが、その“線引き”で当初は混乱も予想される。

 福岡市・天神の博多大丸は25日~10月1日に恒例の催事「全国うまいもの大会」を開く。扱うのは主に飲食料品で、客が会場内にある椅子で買ったばかりの総菜などを食べる姿がよく見られた。今年は最終日が増税初日と重なる。店内飲食は「外食」扱いとなるため、椅子に飲食用ではない旨の案内を掲示する予定。担当者は「店内で食べるのを楽しみにしている方もいると思うが、混乱を避けたい」と理解を求める。

 食品スーパー、マックスバリュ九州(福岡市)は、椅子を設けて「飲食可能」と案内していた店内のスペースに「休憩室」と表示。増税後に買い物客に店内で飲食しないように仕向けている。

 外食チェーンでは、店内飲食と持ち帰り用で価格を統一するかどうかで対応が割れている。牛丼大手では、吉野家が商品の本体価格を据え置き、店内飲食と持ち帰りに異なる税率を適用するのに対し、すき家や松屋は主力商品について店内飲食と持ち帰りの税込み価格を統一する方針だ。

 ロイヤルホールディングス(福岡市)傘下の「天丼てんや」も主力商品については、増税後も店内飲食と持ち帰りの税込み価格をそろえる。店内飲食の増税2%分は自社負担となるが、「浸透している『天丼540円』(のイメージ)を大切にする」(広報)と判断した。地場うどんチェーン「資さん」(北九州市)も同様の対応を取る。同社の売上高のうち店内飲食は9割以上を占める。担当者は「(収益的に)苦しいのは間違いないが、お客の利便性と分かりやすさを優先した」と説明する。

 流通、外食各社にとって悩ましいのは、店内飲食として会計した客が食べ残しを持ち帰ったり、逆に持ち帰りとして買った客が店内で食べ始めたりするケース。福岡市内などで複数の商業施設を運営する企業の広報担当者は「会計のやり直しは現実には難しい。どこまで厳密に対応するかは同業者の動きなども見て判断したい」と話す。 (仲山美葵)

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