この夏、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産アンコールワットで

西日本新聞 社会面

 この夏、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産アンコールワットで知られるカンボジアの古都シエムレアプを旅した。18年ぶり2度目の訪問である。生い茂る木々に囲まれるように立つ石造りの寺院の数々。世界中から押し寄せる観光客の喧騒(けんそう)をよそに、見る者を圧倒する美の力、神々しさは健在だった。

 大地に根差した樹木の根の成長に伴い、原形をとどめぬほど崩壊した寺院跡。積み重なったまま放置された巨石はコケに覆われ、雨期の滴にしっとりぬれた情景は、時が過ぎることのはかなさが漂い、なかなか立ち去り難い気分になった。要するに、自分もそれだけ年を取った、ということなのだろう。

 18年前と比べ、遺跡は立ち入り禁止が増えていた。かつて指先でなぞって感じた幾つかの石のレリーフ像も今回は眺めるのみに終わったが、得られた満足感に大差はなかった。これもまた、年を重ねたからだろうか。(岩崎拓郎)

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