【特派員オンライン】戒厳令下、ネット遮断の夜

西日本新聞 国際面 川合 秀紀

 インターネットに接続されていません-。電波良好のスマートフォンにこの表示が出たとき、思わず「おお」と声が出た。

 8月29~31日、ミャンマー政府主催の取材ツアーで訪れた西部ラカイン州マウンドー。戒厳令を敷く政府が6月下旬からネットの接続を遮断している地域だ。表示が出た直後は気になってスマホを見続けたが、あきらめてバッグの奥にしまい込んだ。すると急に自分が世の中から隔絶されたような不安に襲われた。と同時に「ネットを見ないで済むんだ」とも感じた。

 街は夜10時以降、外出禁止。宿の部屋にテレビはなく、エアコンもないため暑くて眠れない。照明も本が読めないほど暗い。向かったのはロビー。ツアーに参加したミャンマー人記者や近所の住民がいた。皆やることがなく、とにかく話した。この街にかつて住み、隣国に逃れたイスラム教徒ロヒンギャのこと。少数民族と当局の衝突の背景。政権を率いるアウン・サン・スー・チー氏の評判…。拙い英会話は夜更けまで続いた。

 外は闇、静まり返る街。そんな中で交わすひそひそ話。戒厳令が続いていいわけがない。でも濃密な夜だった。 (バンコク・川合秀紀)

PR

国際 アクセスランキング

PR

注目のテーマ