新内閣への注文 「国民の声」に耳を澄ませ

西日本新聞 オピニオン面

 世論はおおむね改造内閣の船出を好感していると言えるだろう。しかし、おごりや慢心は禁物である。有権者は政治に何を求めているか。国民の声に耳を澄まし、政策の優先順位を見誤らないよう注文したい。

 11日に安倍晋三首相の第4次再改造内閣が発足して1週間が経過した。共同通信社が実施した緊急電話世論調査によると、内閣改造と自民党役員人事を「評価する」とした回答は50・9%と過半数を占め、「評価しない」の31・4%を上回った。内閣支持率も55・4%で、8月の前回調査から5・1ポイント増えた。

 環境相に起用された小泉進次郎氏に「期待する」という人が74・0%に及ぶなど、「安定と挑戦」を掲げた首相の人事は一定の効果をもたらした-といえよう。

 問題はこの内閣でどんな仕事を成し遂げるか、である。当面する最大の課題は、10月からの消費税率10%への引き上げであり、増税後の経済運営だ。

 世論調査では、消費税増税後の日本経済の先行きについて「不安」「ある程度不安」という回答が計81・1%に達した。多くの国民が抱く不安に政治は敏感であるべきだろう。

 軽減税率の導入など制度変更に伴う混乱回避に万全を期す一方、景気の腰折れを防ぐ必要がある。臨機応変の対応で経済の回復基調をより確かにしていく姿勢を改めて求めたい。

 気になるのは、相変わらず首相が突出して強い意欲を示す憲法改正の問題である。首相は改造内閣発足直後の記者会見でも自民党主導で改憲論議を進める決意を示し「必ず成し遂げる」とまで踏み込んだ。この政治姿勢は国民の大多数の期待を踏まえたものとは言い難い。

 今回の世論調査でも、安倍首相の下での憲法改正に「反対」は47・1%で、「賛成」の38・8%を上回った。

 内閣が優先して取り組むべき課題(二つまで回答)を問う設問でも、トップは「年金・医療・介護」(47・0%)で「景気や雇用など経済政策」(35・0%)がこれに続く。「憲法改正」(5・9%)は8番目にすぎない。憲法問題に関する「国民の期待」と「首相の熱意」の落差は火を見るよりも明らかだ。

 今回の改造内閣の政治的エネルギーは、反対を押し切って強引に憲法改正へ突き進むことではなく、持続可能な社会保障に向けた制度改革や景気・経済対策など国民の暮らしに直結する課題の解決にこそ、まず振り向けてほしい-。

 そんな国民のメッセージを素直に読み取るべきだ。その先に長期政権の総仕上げという展望も開けてくるのではないか。

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