災害とSNS 迅速、的確支援へどう活用

西日本新聞 くらし面 新西 ましほ

災害とSNSをテーマに語る「よか隊ネット熊本」の土黒功司さん(右)ら、被災地支援に取り組む5団体のメンバー 拡大

災害とSNSをテーマに語る「よか隊ネット熊本」の土黒功司さん(右)ら、被災地支援に取り組む5団体のメンバー

 ●よか隊ネット土黒代表理事「基本は人と人のつながり」

 地震や豪雨、台風など大きな被害をもたらす災害が相次いでいる。災害時、フェイスブックやツイッター、LINEなどの会員制交流サイト(SNS)は、情報の発信や収集などに有効な手段だ。東日本大震災や熊本地震などで復興支援に取り組んできた五つの団体が「SNSと災害」をテーマに語るイベントが6日、東京都港区のフェイスブック日本オフィスで開かれた。内容を報告する。

 大規模災害時は、基地局の被害や回線の混雑によって、電話がつながりにくくなる。そんな中、SNSは安否確認手段として非常に有効だ。ワンクリックで安否を家族や友人に一斉に知らせる機能などもある。

 「家族の安否を心配しないですむように情報伝達手段が必要。まずはSNSで自身の安否を発信することが大切」と語ったのは、「3・11みらいサポート」代表理事の鈴木典行さん(54)。2011年の東日本大震災では、宮城県石巻市で被災し家族を失った。

 津波で大きな被害を受けた門脇地区。住民約60人に震災直後の行動を聞き取ったところ、発生から10分後には誰も避難していなかった。家族を捜して自宅や学校などに向かったためだ。「当時はスマホもまだ普及していなかった。すぐに安否確認ができれば、命を守る行動につながる」と鈴木さんは力を込めた。

 鈴木さんたちは、震災の体験を次世代に伝えようと、展示施設「つなぐ館」の運営や語り部の派遣を行っている。震災前後の石巻の様子を伝える「石巻津波伝承ARアプリ」を公開しており、無料でダウンロードが可能だ。

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 「SNSが良くも悪くも非常に活用された災害だった」と振り返ったのは、「よか隊ネット熊本」代表理事の土黒功司さん(41)。16年に震度7を観測した熊本県益城町で被災した。

 救助や支援物資を求める書き込みがSNSで拡散され、素早い支援につながったケースが多かった。土黒さん自身も、車中泊避難者の支援ニーズを探るためアンケートを行った際、フェイスブック上で文字起こしへの協力を呼び掛けた。海外を含む30人が手伝い、迅速に県に要望を伝えることができたという。

 一方で「動物園からライオンが逃げた」「○時間以内に大きな地震がまた来る」などの悪質なデマがSNSで拡散されてしまうことも。古い情報が広まって必要のない物資が届いたり、情報発信されない地域はなかなか物資が届かなかったりした。土黒さんは「どこから、いつ発信された情報なのかを確認することが大切。スマホを持たない高齢者など情報から取り残されてしまう人がいることも意識して」と話した。

 よか隊ネットは、みなし仮設住宅の入居者を対象にした交流イベントなども開催。土黒さんは「SNSやITはあくまでもツールで、基本は人と人のつながり。地域に目を向けた支援をする中で、ITを使って支援のスピードを上げていく」と語った。

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 SNSを使えば、遠く離れた場所からも被災地を支援することが可能だ。東京都の会社員塚田耀太さん(26)は熊本地震の直後にフェイスブック上に支援グループを開設。ネット上に飛び交う膨大な情報をメンバーとともに集約、整理し、炊き出しや給水、営業中のスーパーやガソリンスタンドなどの場所をウェブ上の地図「グーグルマップ」に集約して公開した。

 支援グループは、昨年の西日本豪雨、北海道地震の際にも開設されて活躍した。塚田さんは「地震直後の混乱期に現地に行って支援するのは難しいと考え、情報支援を始めた。行かなくてもできることはあって、微力だけど無力じゃない。今後もできることをやり続けたい」と力を込めた。

 北海道大の学生でつくる「あるぼら」は、SNSを通じて集まった学生がアルバイトをし、得たお金で購入した支援物資を被災地に送っている。今夏は物資ではなく、厚真町で農作業を手伝うボランティアを派遣した。秋田谷凛さん(19)は「支援のニーズを知るには、信頼関係を築くのが非常に大切。現地に赴くだけでなく、SNSでも交流を深めている」と話した。

 SNSを活用して震災の記憶を次世代へつなごうという団体もある。「阪神淡路大震災1・17希望の灯(あか)り」は、震災を知らない大学生が被災者から提供を受けた写真や動画をデジタル化し、1月からフェイスブック上で公開している。代表理事の藤本真一さん(35)は「震災から間もなく25年。いかに次世代に経験を伝えるかが課題で、さまざまなツールが必要だ」と語った。(新西ましほ)

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