安宅のヒガンバナ残念 シカ出没、球根かじる? 川崎町

西日本新聞 筑豊版 大塚 壮

 古くからヒガンバナが自生し、川崎町の風物詩になっている同町安真木の「安宅のヒガンバナ」に異変が起きている。特に名所の小峠地区の棚田周辺はほとんど花が咲いていない。町と地元住民などでつくる実行委員会は、毎年秋分の日前後に開いていた「彼岸花まつり」の中止を決めた。中止は豪雨災害を受けた昨年に続き、2年連続。原因としてシカによる食害が指摘されている。

 小峠地区では約3ヘクタールの棚田のあぜに沿って毎年ヒガンバナが咲き誇り、2009年から「あたか棚田彼岸花まつり」を開催。群生地周辺では地元産の野菜や米、ハチミツなどを売る店が並び、ウオーキング大会もあり最大約2千人の人出があった。

 昨年はヒガンバナが咲いたが、豪雨で周辺の道路が一部崩れたため中止に。しかし、今年は18日になっても花がほとんどない。北側の田んぼには所々咲いているが、棚田周辺は深刻だ。

 植物生態学が専門のいのちのたび博物館(北九州市)の真鍋徹学芸員によると、今年はヒガンバナが全国的に少ないという情報はなく、小峠地区の棚田に特異な現象が起きたと考えられるという。

 川崎町役場職員で祭りの実行委員会事務局を務める伊藤遙平さん(30)によると、周囲にはシカが頻繁に出没。住民が犬の散歩中にシカがあぜを荒らしているのを目撃している。かじられた跡があるヒガンバナの球根もあった。

 毒があるヒガンバナ。誤って食べると、吐き気や下痢、嘔吐(おうと)、中枢神経のまひなどを引き起こすとされる。シカは大丈夫なのか?

 真鍋学芸員によると、一般的には食べないとされてきたが、近年はアセビなどこれまで食べなかった有毒植物も食べるようになっていることが報告されているという。「断定できないが、シカが空腹でヒガンバナの球根をかじり、吐き出したのでは」と推察する。

 毎年の祭りで「こんなに多くの人が来るのか」と感動していた伊藤さんは、ヒガンバナの里復活に向けて「この状況は残念。新しく球根を植えることや、シカなど食害につながる動物を棚田に入れないような対策を住民と一緒に考えたい」と話している。 (大塚壮)

福岡県の天気予報

PR

PR

注目のテーマ